アメリカの著名ハイテク企業が上場する証券市場であるNASDAQ(ナスダック)。このナスダック市場のパフォーマンスを表す株式指数は、代表的なものが2つある。1つ目はナスダック総合指数といわれるもので、ナスダック市場に上場するすべての企業を対象にした指標。もう一つは、ナスダック100といって、時価総額上位100社を対象にしたものだ。
インデックスファンドを買う際は、どの指数を買うかがすべてだ。ナスダックという市場で非常に似通った2つの指標。パフォーマンスは違うのか?それともほぼ一緒なのか?今回はこの疑問に答えてきたい。
ナスダック総合指数(NASDAQ Composite)とナスダック100(NASDAQ 100)
パフォーマンスという意味では、ナスダック100のほうが、ナスダック総合指数よりもパフォーマンスが良い。これは、1985年年末に1ドルを買った場合のパフォーマンスであるが、2023年にはナスダック100は、127.2ドルとナスダック総合指数の46.2ドルを約2.8倍ほど上回っている。
これは直近の10年に限ってみてもナスダック100が、約31%ほどパフォーマンスが勝っている。
大企業(Large Cap)のほうがパフォーマンスが良い説
ナスダック総合指数とナスダック100の違いは、市場全体か時価総額で上位100社(のぞく金融銘柄)かということ。上位100社というのは、今までの様々な競争を勝ち上がってきた大企業であるため強い企業といえよう。
また、100社のリストは、毎年12月に見直しがかけられる(銘柄の入れ替えはそれ以外にも買収などの理由で行われている)。業績が悪い企業は株価が低迷し、上位100社から転落する。入れ替えが起こっているため常にアメリカを代表する時価総額が大きいテック企業を中心としたリストになっている。
これがナスダック総合よりもナスダック100のほうがパフォーマンスが良い理由だろう。
多くの人気投資商品はナスダック100をベースにしている
日本でも多くのナスダックと名前が付く投資信託はこのナスダック 100をベースにしている。日本市場に上場しているETFや投資信託で有名なレバナス(2倍のレバレッジがかかった)も対象の指数は、このNASDAQ100だ。また、アメリカでもっとも時価総額が大きいナスダック系インデックスETFであるQQQ(Invesco QQQ Trust Series 1)もNASDAQ100をベースとしている*1。
アメリカで上場しているETFの中ではナスダック総合指数を対象としているものもあるが、日本でナスダック系インデックス投資信託・ETFは、ナスダック100を対象しているため取違いはないだろう。ただし、ニュース等で報道される数字はナスダック総合指数が報道されることが多い。
なお、時価総額上位の企業のほうがパフォーマンスが良いという傾向は、S&P 500に関する指数においても観察される。
データの紹介
*1 アメリカのETFのランキング: S&P 500系のファンドが上位を占めている。Largest ETFs: Top 100 ETFs By Assets (etfdb.com)
紹介したデータは、アメリカのヤフーファインナス(NASDAQ Composite (^IXIC) Stock Price, News, Quote & History - Yahoo Finance / NASDAQ 100 (^NDX) Stock Price, News, Quote & History - Yahoo Finance)で掲載されているデータ。ドルベースのデータである。