年収800万円で幸福度は頭打ち?最新研究で覆されたお金と幸せの本当の関係

タケボウ

個人投資家 - S&P500(インデックス投資)を中心に約1億円運用中。個別株や株式指数の裁量取引も行う。債券、金、ビットコイン、1Rマンション等も保有。

年収800万円で幸福度は頭打ちになるのであろうか?

資産形成をする多くの理由は、お金が欲しいということであるが、その一方、人生の究極の目標は幸せになることともいえる。

これに関しては、インターネット上で広く解説されている説がある。年収800万円までは、年収アップが幸福度に直結するが、それ以上年収が上がっても幸福度は上がらないという説だ。

これは2010年に発表されたアメリカの研究を元に書かれているが、この常識は2023年に大きくアップデートされている。現在は「お金があればあるほど幸せになるが、そうなるためには条件がある」としている。これはどういうことなのか?

従来の説:年収800万円で幸福度は頭打ち?

「お金で幸せは買えるのか?」という問いに対し、2010年に米国で発表された研究1は幸福を2つに分けて分析している。1つは、人生全体の満足度を示す「人生評価」である。もう1つは日々の感情である「感情的幸福」である。

約45万人の米国人データを用いた結果、収入の向上は継続的に人生評価を高める。言い換えれば、収入が上がれば自分の人生は成功だったと評価するようになるのだ。

その一方、日々の感情は、頭打ちになる。特に年収約7万5,000ドルまでは感情的幸福も向上するが、それ以上では頭打ちになる傾向が見られた。

高年収は、人生を良く評価させる力はあるが、日常の幸福感そのものを高めることにはつながらない、というのが本研究の結論である。なお、低所得は病気や、離婚、孤独などの不幸の影響を強めることも確認されているため、ある程度の年収を得ることは非常に重要である。

最新研究でわかった新事実:年収の幸福貢献は800万円を超えて継続する

この研究2は、2023年にアップデートされた。この結果、お金はあったほうがあっただけ幸せになるという結果になった。ただし、条件がある。

もともと幸福な人:お金を持てば持つほど、幸せ度が上がる。
普通の人:お金を持てば持つほど幸せ度が上がるが、限界効用、つまり、その効果は徐々に減る
もともと不幸な人:約10万ドル付近(生活水準ベースで800万円程度)で、幸せ度向上が停滞

これは、お金は幸せになるためあったほうが良いが、かと言って、お金の量で幸せの量が決まらないということを示している。

不幸な人とは?年収800万円で幸福度が頭打ちになる人の特徴

この研究では、人の不幸度を「その人がどれだけ日々ネガティブな感情を感じているか?」で計測している。ネガティブな感情になる理由については調査はされていないが、一般的には、以下のような非金銭的な要因が大きい。

メンタルヘルス:慢性的なストレスがある
良好な人間関係に問題がある
健康問題を抱えている
孤独・不安が強い
仕事が不安定、もしくは、仕事に支配されており、生活を自分で決めることができない

ということが挙げられる。

結論:不幸な金持ちが存在する本当の理由

この研究を通じて「お金で幸せが買えない」という「不幸な金持ち」がいる理由がわかる。

不幸な金持ち:お金が増えても「もっと欲しい」「他人と比べてしまう」「お金の使い方が下手」などのマインドセットのままなので、満足できず不幸が続く。

幸せな金持ち:お金を「手段」として、自分の本当に大切な価値観(家族・趣味・成長・貢献など)にしっかり使えている人。お金が増えれば増えるほど、その価値観を実現しやすくなり、幸福度が右肩上がりになる。

お金は人生を良くする力はあるが、人生が良くなるかは別問題である

  1. High income improves evaluation of life but not emotional well-being | PNAS ↩︎
  2. Income and emotional well-being: A conflict resolved | PNAS ↩︎