株式投資を行っていると株式や投資信託で配当金というものが貰える。この配当金、なんか、投資収益の”おまけ”みたいな形で、この配当金で美味しいものを食べようかな?と思う投資家が多いのではないか?
資産形成期にはこの配当金は再投資するべきだ。理由はこの配当金再投資は長期の資産形成でおいて相当な差を生むからである。
実際に配当金再投資でインデックス(株式指数)はどのくらい差が出るのか?
まずは運用期間を10年と20年という2つのケースで、2つの主要インデックス(オルカンとS&P 500)でどのくらいの利回りの差が出たかを見てみる。
10年間のケース
オルカン (MSCI ACWI) | 年間利回り1 | 1000万円を右の利回りで 10年間運用した場合 |
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配当を再投資した指数 | 7.9% | 2,144万円 |
株価の動きのみ指数 | 5.9% | 1,779万円 |
差 | 2.0% | 365万円 |
S&P 500 | 年間利回り2 | 1000万円を右の利回りで 10年間運用した場合 |
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配当を再投資した指数 | 13.5% | 3,137万円 |
株価の動きのみ指数 | 11.0% | 2,551万円 |
差 | 2.5% | 586万円 |
20年間のケース
オルカン (MSCI ACWI) | 年間利回り | 1000万円を右の利回りで 20年間運用した場合 |
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配当を再投資した指数 | 7.5% | 4,280万円 |
株価の動きのみ指数 | 5.5% | 2,895万円 |
差 | 2.0% | 1,385万円 |
S&P 500 | 年間利回り | 1000万円を右の利回りで 20年間運用した場合 |
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配当を再投資した指数 | 10.2% | 5,364万円 |
株価の動きのみ指数 | 8.1% | 3,358万円 |
差 | 2.1% | 2,006万円 |
このように年間2.5%から2%程度の配当を再投資するかしないかで大きな運用結果の違いを産んでいることがわかる。
高配当株でもインデックス投資でも配当金を再投資すべき?
そもそも配当金を出すか出さないかは企業の選択である。
成長企業は配当金を出さない場合が多い。これは企業利益を配当金という形で株主に配らず、企業内で再投資して更なるビジネス成長を目指すという方針からだ。これにより成長期待が高まれば、株価は上昇しキャピタルゲインとして投資家が儲かる。
成熟企業は高配当株である場合が多い。これは企業利益を再投資してもビジネス成長が見込めないということがある。それであれば株主還元を重視すること=配当をたくさん出すことで、高配当株としての魅力を増すという選択をするべきということだ。これにより高配当株戦略の投資家にとって魅力がある銘柄となり、株価は上昇しキャピタルゲインとして投資家が儲かることにつながるからだ。
どちらも株価の上昇を目指しているが、会社の利益の使い型が違うだけである。そして後者の高配当株であれば、配当をその企業に再投資することでより多くのリターンが望める訳だ。
日本では配当再投資がめんどくさい?
米国では、DRIPs(Dividend Reinvestment Plans)というシステムが導入されている。これは配当金が払われると税金分を除いて自動的に同じ会社の株に再投資されるという仕組みだ。配当金で購入するので必ず1株単位にならず、端株(Fractional Share)と言って端数は1株以下の株として表現される(例えば、1.8145株分購入したというような形だ)。
日本ではこのシステムがない。これは端株がない為、株式を金額で購入することが難しいからだろう。自身で金額を足したりして配当金の再投資をミニ株(単元未満株)を使って行わなくてはいけない為、配当再投資はめんどくさい作業になる。
配当を出さない形のインデックスファンドは内部で配当再投資を行っている
低コスト型のインデックス型投資信託は分配金(投資信託における配当金)を出さないものがある。例えば、「eMAXIS Slimシリーズ」などだ。
これらの投資信託は、投資先の配当金などはすべてファンド内で再投資をしている。その為、連動するインデックスの多くは株価を使った指数ではなく配当込み指数になっている。資産形成期には分配金は必要ないだろう。その場合は自動的に配当再投資されているインデックス型投資信託がお勧めだ。