インデックス投資

日本株アクティブ高配当株投資 vs. 日本株インデックス投資

大型日本株に投資する際に人気を2分するともいえる
・ 高配当株を裁量で購買するアクティブ高配当戦略
・ TOPIXもしくは日経平均という株式指数を買うインデックス投資戦略
のどちらがパフォーマンスが良いのかを考えてみたい。

日本市場を代表するインデックス(株価指数)はパフォーマンスが弱い?

日本市場を代表する2つのインデックスである日経平均TOPIXにはそれぞれ問題があるとされている。

日経平均の問題点とは?

日経平均は、株価指数の主流の算出方法である浮動株時価総額加重型ではない。ダウ平均などに用いられている株価の平均を取るタイプである。このタイプの計算方法では、一部の値嵩株(単に株価が高い株)の指数寄与度が高く、市場全体の状況を正しく反映されにくいといえる。有名インデックスであるS&P 500やNASDAQ 100、TOPIXは、浮動株時価総額加重型を採用している。

TOPIXの問題点とは?

TOPIXは、前述のように浮動株時価総額加重型を採用している。しかし、採用銘柄数が2140銘柄(基本的には旧東証1部に上場していた企業)1と膨大であり優良株、つまり、日本を代表する企業で構成されている訳ではない。TOPIXはこの状況を加味して時価総額が小さい銘柄を段階的に影響度を低くするなど、様々な指数改善を行っている2

また、S&P 500がアメリカ市場を代表する指数、そして、高いパフォーマンスを出しているということを受けて、より優良株に絞ったJPXプライム150指数が誕生するなど、日本市場のインデックスについていろいろな改善が行われている。

だが、これも最近の動きである。投資パフォーマンスとして実績があり、投資商品として買いやすいのはやはり日経平均TOPIXということになる。となると日本市場へはインデックスではなくて、人間の意志判断で買う裁量トレード=アクティブ取引の戦略が注目を浴びる。そして、大型株となると高配当に注目をしたアクティブ高配当株投資がその有力選択肢だ。

短期の日本株アクティブ高配当株戦略 vs. 日本株インデックス投資戦略

今回は、比較対象として以下の4つを対象に、去年からの本日(2024年7月19日)までの株高局面での投資パフォーマンスを比較してみた。
- MAXIS高配当日本株アクティブ上場投信(2085)3:2023年9月7日から販売開始となったアクティブETFの中で高配当株に注目した投資戦略を取っている。
- 日経平均高配当利回り株ファンド4:投資信託で高配当と謳っているもので日本株で最も純資産残高(1486億円)があるもの5。このファンドは、日経平均の225銘柄の中から高配当に注目してファンドマネージャーが30銘柄を選び運用している投資信託である。
- eMAXIS Slim 国内株式 (日経平均)6:人気のeMAXIS Slimの日経平均に連動するインデックスファンド
- eMAXIS Slim 国内株式 (TOPIX)7:人気のeMAXIS SlimのTOPIXに連動するインデックスファンド

以下が9月6日の終値で1とした場合の価格変動である。パフォーマンスは、日経平均高配当利回り株ファンド > eMAXIS Slim 国内株式 (日経平均) > eMAXIS Slim 国内株式 (TOPIX) > MAXIS高配当日本株アクティブ上場投信(2085)となった。つまり、アクティブ > インデックス > インデックス > アクティブということで、どちらの戦略が優れているとはっきり言えない結果となった。

月次パフォーマンスを見てもアクティブ vs. インデックスどちらにも軍配を上げられる理由が見つからなかった。その一方、意外だったのは日経平均のボラティリティの高さだ。一部の値嵩株に大きな影響を受けていることがわかる。

中期の日本株アクティブ高配当株戦略 vs. 日本株インデックス投資戦略

上記の二つの日経平均にまつわるアクティブファンドとインデックスファンドについて、2018年終値(コロナ前の上昇を捉えることができるタイミング)を1とした場合の現在(2024年7月19日)までの値動きを比較してみた。これによるとアクティブファンドが大幅に勝っている。

インデックスの比較という意味では、日経平均2.21に比べてTOPIXは2.17とほぼパフォーマンスは同じである。

日経平均という視点で年別で見てみると以下になる。右端に日経平均のプライスインデックス(配当を考慮せずに株価だけの動きを示したもの)を追加している。このプライスインデックスがニュース等で報道される数字である。

5年というスパンで見てみるとインデックスがパフォーマンスが悪い時でも、アクティブファンドは裁量によって工夫ができるということが、2021年や2022年に読み取れる。その一方でインデックスがパフォーマンスが良い時にアクティブファンドのパフォーマンスが良いということが保証されないことを2020年は示している。

日経平均高配当利回り株ファンドeMAXIS Slim 国内株式(日経平均)日経平均(プライスインデックス)8
2019年12%21%18%
2020年-13%18%16%
2021年25%6%5%
2022年27%-8%-9%
2023年43%31%28%

年間利回りを見てみると、とにかくこの5年の日本株の大きな成長が見て取れる。日本株復活の中でアクティブファンドがより大きなパフォーマンスを示している。

日経平均高配当利回り株ファンドeMAXIS Slim 国内株式(日経平均)日経平均(プライスインデックス)
平均利回り(5年平均)17.2%12.9%10.8%

結論としては

過去5年の日経平均高配当利回り株ファンドと、eMAXIS Slim 国内株式 (日経平均)のパフォーマンス比較で言えば、日経平均高配当利回り株ファンドが圧倒的にパフォーマンスが良いといえる。その一方で、アクティブファンドとインデックスファンドのどちらが良いかと聞かれるとこの記事だけは明確に結論付けられない。というのもその結論を導きだす論理的な理由がないからだ。

このような場合は、資金を分けて両方買っておくのが良いのではないか?としか言えないだろう。

  1. TOPIX(東証株価指数) | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)(2024年7月21日閲覧) ↩︎
  2. j_data1.pdf (jpx.co.jp) ↩︎
  3. 日経平均高配当利回り株ファンド | 投資信託なら三菱UFJアセットマネジメント (mufg.jp) パフォーマンスなどもこのページから取得した。尚、パフォーマンスは分配金を再投資した場合である。分配金はNISA口座等を利用してない場合は約20%課税されるために再投資する際には税金分だけ原資が減少する。今回の試算ではこの影響を考慮していない。 ↩︎
  4. 日経平均高配当利回り株ファンド | 投資信託なら三菱UFJアセットマネジメント (mufg.jp) パフォーマンスなどもこのページから取得した。尚、パフォーマンスは分配金を再投資した場合である。分配金はNISA口座等を利用してない場合は約20%課税されるために再投資する際には税金分だけ原資が減少する。今回の試算ではこの影響を考慮していない。 ↩︎
  5. 投資信託ランキング(純資産残高) - Yahoo!ファイナンス(2024年7月21日閲覧) ↩︎
  6. eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | eMAXIS(イーマクシス) (mufg.jp) パフォーマンスなどもこのページから取得した。 ↩︎
  7. eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | eMAXIS(イーマクシス) (mufg.jp) パフォーマンスなどもこのページから取得した。 ↩︎
  8. 日経平均株価(225種)の年間株価(年足)|時系列データ|株探(かぶたん) (kabutan.jp) からデータを取得した。 ↩︎

-インデックス投資