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超低位株はボロ株?急激な株価成長が可能な株

2024年6月16日

低位株を一言で言えば株価が安い株。その中でも1株100円以下で取引される株は、超低位株といわれ別名はボロ株だ。

株価が安いことは株が割安だということと同義ではない。企業価値は時価総額として表現される。時価総額は「株価 X 発行株式数」なので、1株当たりの価格が安くても発行株式数が多ければ、時価総額=企業価値は大きくなる。割安・割高は、企業価値に対して判断されるので、超低位株がいくら株価が安いといっても割安かという判断はできない。

しかし、実際に株式市場で1株100円前後で取引されている超低位株は、ボロ株が多い。ボロ株とは、人気もなく市場で放置されている超低位株のこと。その多くは、投資対象ではなく投機対象として語られ、突然の激しい株価の上下運動を起こすこともある。

今回は、値動きが激しいとされる超低位株への投資とボロ株投資について考えていきたい。

超低位株って何?

超低位株とボロ株の定義

超低位株に明確な定義はない。一般的には1株当たり100円から300円以下で取引されている株だ。日本市場では単元株=株を取引できる最低単位1が100株のものが主流だ。つまり、投資単位が1万円(=1株100円<株価> X100株<単元株>)から3万円(=1株300円<株価> X100株<単元株>)で取引することができる銘柄が超低株となる。投資単位だけ見れば、超低位株は個人投資家がお手頃にトレードできるお財布にやさしい株ともいえる。

超がついていない単なる低位株は1株1000円以下とされることが多く、この場合は投資単位は10万円=以下となる。この10万円以下が個人投資家が買いやすい単位ともいわれており、株価が1000円というのを1つの目安にするケースもある。いずれにしても一般投資家がトレードしやすい銘柄である。

ボロ株はこのようなトレードしやすい株価の銘柄において、人気もなく市場で放置されている株の総称である。気軽に個人投資家がエントリーしやすく、度々、市場の玩具のように扱われ、価格の乱高下を起こすこともある。

後述するが、超低位株はボロ株である可能性は高いが、必ずしも超低位株=ボロ株というわけではない。

超低位株の値動きが激しくなる理由

超低位株が値動きが激しいのは数学的な都合上による部分も大きい。つまり、株価が小さいと数学的に値動きが大きくなる。

例えば、株価が上下運動の最小単位である1円動いたとすると2
・1000円の株が1円上がると値動きは0.1%の上昇
・100円の株が1円上がると値動きは1%の上昇
となるからだ。同じ1円でも資産の上昇は10%も異なる。

前述のとおり企業価値は時価総額であるが、株式市場は時価総額ではなく株価を見てトレードされている。その為、絶対的な値上がり%が注目を集める。これが超低位株投資の妙ともいえる。

超低位株は超小型株か?

超小型株は時価総額で判断され、超低位株は株価で判断される。つまり、超低位株は超小型株である可能性もあるが、そうでない可能性もある。

東証が、株価 X 単元株=株式投資単位を50万円以下にすることをガイドラインとして明確に打ち出している3ことからわかるように株式投資単位をとにかく少額にしようというのがトレンドだ。その為、積極的に株式分割が行い株価を下げる企業も多い。その結果、超低位株の価格水準になった株もある。その代表例はNTT(9432)である。

NTTは2023年7月1日に1株を25分割することによって、投資単位を25分の1にした。これによりNTTの株価は現在150円で、150円(株価)X100株(単元株)=1.5万円(投資単位)となった。以前はこの25倍、37.5万円が投資単位だったわけだ。NTTは東証プライム市場で4番目に投資単位が小さい超低位株4である。

現在株価が下落しているのは、この株式分割の影響で、個人投資家が市場に参加し始めたことも一因だろう。現時点で時価総額は13兆円あり日本の時価総額ランキングは9位である。もちろん、NTTはボロ株ではない

具体的な超低位株はボロ株ばかり?

ここまでは超低位株は、
・理論的に割安や割高と関係ない
・理論的には時価総額(企業価値)の大小とは関係なく、NTTのように超大型株の場合もある
と書いてきた。しかし、現実的には多くの超低位株は、超小型株でありボロ株といわれる市場に見向きもされない放置された銘柄ばかりである。

このようなボロ株の中から値上がりそうなものを見つけて、急激に株価が上がるイベントを利用し、少額な資金投資で大きなリターンを得ようというのがボロ株投資の醍醐味である。

ボロ株投資の注意点:上場廃止リスク

現在のボロ株となっているような株は、過去上場廃止の瀬戸際まで追い詰められた銘柄も多い。例えば、私も大好きな書店である、文教堂グループホールディングス(9978:株価は50円、時価総額22億円)。うちの父親が大好きな持帰りずしの茶月を運営する小僧寿し(9973:株価は20円、時価総額44億円)などである5

ボロ株投資は上場廃止リスクを考慮したほうが良いだろう。

サンライズテクノロジー伝説

サンライズ・テクノロジーは、2001年2月から2007年6月までヘラクレス市場(現在は東証グロース市場また、スタンダード市場に統合されている)に上場していた銘柄である。伝説的なボロ株として知られている。

サンライズ・テクノロジーの株価は2004年頃はなんと1円であった。理論上一番低い株価だ。この株を株価1円で株を買い、最小の値動きである+1円した場合は株価は2円になる(サンライズ・テクノロジーの単元株は1000株単位だったので1000円買えば2000円になるということである)。

1円が2円になるということは投資資金が2倍になるということだ。これを狙って個人投資家が大量に株価を取引した。ただし、実際はサンライズ・テクノロジーの株価が1円のまま張り付いてしまったりと、このようなボロ株で儲けるのは難しいかったというのが実情だ。

そして、最終的にサンライズ・テクノロジーは上場廃止となった。

値嵩株は好業績企業が多い

ちなみに、超低位株に対抗する言葉が値嵩株(ねがさかぶ)。この値嵩株も超低位株と同じで株価が高いだけで、割安、割高ということは関係ない。ただし、値嵩株は市場から高評価を受けたもの株式分割を行っていない株ともいえるので、言い換えれば好業績企業である。

現在日本市場で最も投資単位が高い(値嵩株)はSMC社(6273)の800万円程度。TOPIX Core 30、日経225に採用されている日本を代表する企業だ。この他にもキーエンスの700万円、日経225の代表的な値嵩株として有名なユニクロ(ファーストリテイリング)が400万円程度が上げられる6

ボロ株投資以外の超低位株投資戦略

株価が小さい超低位株の投資先をどのように見つけていくかの投資戦略を考えてみたい。

超低位株 X 巨大時価総額株

時価総額が大きく株価が低い銘柄を狙えば、安全に値動き上下=大きな%が捉えらえるかもしれない。NTTだけでなく、例えば、LINEヤフーという銘柄がある。

LINEヤフーは、日本最大のインターネット複合企業であり、時価総額は2.8兆円もある。現在LINEヤフーの株価は360円程度7である。これは東証プライム市場で39番目に投資単位が小さい低位株4である。

このような株は一般投資家が相場に参加しやすい為、人気化するケースもある。

超低位株 X 優待株

人気の株主優待を提供している企業から超低位株を見つけていく方法だ。

超低位株は、超小型株である可能性が高い。このような株は、アナリストカバレッジもなく主な浮動株のバイヤーは個人投資家だ。ということもあり株主優待を設定しているケースが多い。

つまり、優待株取引の投資戦略を使って株価の変動を捉えることができる。

超低位株 X 東証プライム市場

前述した安全で少額でトレードできるような大型株&超低位株というのは、NTTとLINEヤフー以外にはない。ただし、時価総額が大きいという1つの指標は、東証プライム市場に上場しているかということ。

東証プライム市場に上場していればある程度の歴史があるということだ。安定性という意味ではプライム市場上場銘柄の超低位株を狙ってみるのも良いかもしれない。

超低位株 X 中型株

超低位株で超小型株はリスクが大きい。そこで、株価に時価総額をかけてみていくというのが銘柄選定では有効だろう。例えば、中型株、つまり、1000億円以上の時価総額を誇るというのが一つのアイディアだ。株価が1000円程度の株は大量にある。

将来の超低位株を先取する株式分割に注目してみる

NTTの分割のように昨今分割ブームである。ソフトバンク(9434)は2024年の9月30日を基準に株式の10分割を発表している9。現在の株価水準で言えば2万円程度、株価で言うと200円前後で買える超低株が誕生することになる10

今後も取引単位を少額にすることはトレンドなので株式分割がいろいろな会社で行われるだろう。株式分割の一般発表から実行まではタイムラグがあるので先取りすることは可能である。

危険なボロ株投資に挑む?

この記事を読んでいる人は、ボロ株投資で儲けようということで読んでいただいたと思う。そういう方には申し訳ない。というのも

私は仕手筋ではない
特定の流動性が低いボロ株銘柄を推奨して株価を上げようという気はない。

私は将来の株価がわからない
株価がわかるのであれば苦労しないし、多分教えずに自分だけ儲けてしまうだろう。特にボロ株のようなものはリスクが大きくまったくわからない。

と考えているのでボロ株投資を推奨する気もボロ株の推奨銘柄はない。特にボロ株投資は株価が全然動かない(下がる一方)、上場廃止リスクなどがあり、この記事を読む参考とする人ではなく、自分で勝手に銘柄を見つけてくるような株式トレードが好きな方がやるものだろう。

  1. 最近は単元未満株といって単元株以下で取引できるサービスを各証券会社が提供している。これは、単元株が100株の株はどうしても取引き金額が大きいので、1株から販売し個人投資家を呼び込もうというものだ。尚、これは証券会社のサービスなので名称は様々で、楽天証券は「かぶミニ」、SBI証券は「S株」、大和コネクト証券は「ひな株」、マネックス証券は「ワン株」、auカブコム証券は「プチ株」と言っている。取引条件や手数料などは各証券会社のページを参照してほしい。 ↩︎
  2. 株価の上下の単位、呼び値は必ずしも1円ではない 内国株の売買制度 | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)↩︎
  3. 投資単位の引下げ / 株式分割の仕組み・効果 | 日本取引所グループ (jpx.co.jp) ↩︎
  4. 株式ランキング(単元株価格下位) - Yahoo!ファイナンス(2024年6月16日) ↩︎
  5. 株式ランキング(単元株価格下位) - Yahoo!ファイナンス(2024年6月16日) ↩︎
  6. 株式ランキング(単元株価格上位) - Yahoo!ファイナンス(2024年6月16日) ↩︎
  7. 株式ランキング(時価総額上位) - Yahoo!ファイナンス(2024年6月16日) ↩︎
  8. 株式ランキング(単元株価格下位) - Yahoo!ファイナンス(2024年6月16日) ↩︎
  9. 株式分割および定款の一部変更、ならびに株主優待制度の新設に関するお知らせ | 企業・IR | ソフトバンク (softbank.jp) ↩︎
  10. ソフトバンク(株)【9434】:株価・株式情報 - Yahoo!ファイナンス (2024年6月16日) ↩︎

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