株価は日々変動し大暴落は人々の感覚よりも起きる。今回は、うわぁ今日はS&P500が大暴落したという時に知っておくべき内容について考えたい。
どのくらいの頻度でS&P500の大暴落が起きるのか?
S&P 500は、アメリカの分散された大型株のインデックスなので、その価格は常に安定した動きを示すという印象がある。
過去30年(1995〜2024年)の日次データ1を振り返ると、1%以上の下落は、8営業日に1回にある。つまり、2週間弱で1回の頻度で発生する。小幅な下落は株式なので日常的に起こっていると言えよう。また、2%以上の下落は24.8営業日、つまり、1.2か月に1回起きていることになる。
大規模な下落と言えるような3%以上の下落は3.5か月に1回起こっている。これは、1000万円のS&P 500のインデックスファンドで運用していたら、1日で30万円失うということである。かなり大きな下落だ。1日に5%以上の下落、大暴落は確立としては1.5年に1回発生ということで極めて稀な現象だ。
下落幅 | 発生日数 | 何営業日に1日か |
---|---|---|
1%以上の下落 | 978日 | 7.7日 |
2%以上の下落 | 305日 | 1.2か月 |
3%以上の下落 | 102日 | 3.5か月 |
4%以上の下落 | 43日 | 8.4か月 |
5%以上の下落 | 21日 | 1.4年 |
この表で言う1%以上の下落は、2%以上のケースも含んでいるので、1%以上、2%未満の下落は、987日 - 305日 = 682日、過去30年で起こっている。ただしこの数値は重要ではない。日次でこれ以上下落したらいだなと感じるポイントが1%だとすると、1%以上下落が、それが、例え、3%下落だったら、3%以上の感情的に不安になる。つまり、X%以上がどのくらい発生するということを知ることが重要だ。
S&P 500:過去30年におけるトップ10 大暴落
S&P500の日次大暴落トップ10が以下である。日次大幅下落をした場合、短期間で回復している。
暴落日 | 日次下落率 | 前日の終値を超えた日(回復日) | 回復までの営業日数 | 下落タイプ | 下落の理由 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1位 | 2020年3月16日 | -11.98% | 2020年4月8日 | 17日 | コロナショック | 新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる経済活動の停止と景気後退への懸念が急速に高まり、投資家心理が悪化したため。 |
2位 | 2020年3月12日 | -9.51% | 2020年4月8日 | 19日 | コロナショック | WHOがCOVID-19をパンデミックと認定し(2020年3月11日2)、各国での感染拡大が深刻化。さらに、米国が欧州からの渡航禁止措置(2020年3月11日)を発表し、経済への影響が懸念されたため。 |
3位 | 2008年10月15日 | -9.04% | 2008年11月4日 | 14日 | リーマン・ショック | 世界的な金融危機の最中、米国の小売売上高の大幅減少や企業業績の悪化が報じられ、景気後退への懸念が一層強まったため。 |
4位 | 2008年12月1日 | -8.93% | 2008年12月8日 | 5日 | リーマン・ショック | 米国の公式な景気後退入りが発表され(2008年12月1日3)、さらに製造業の活動指数が過去最低を記録。これにより、経済の先行き不透明感が増大し、市場が急落した。 |
5位 | 2008年9月29日 | -8.79% | 2010年4月23日 | 394日 | リーマン・ショック | 米国議会が7000億ドル規模の金融安定化法案(通称:銀行救済法案)を否決。これにより、金融システムの安定性への懸念が高まり、市場が大幅に下落した。 |
6位 | 2008年10月9日 | -7.62% | 2008年10月13日 | 2日 | リーマン・ショック | 金融危機の最中、投資家の信頼感が低下し、売り圧力が高まったため。 |
7位 | 2020年3月9日 | -7.60% | 2020年5月26日 | 54日 | コロナショック | COVID-19のパンデミックによる経済活動の停止懸念と、同日に開始されたロシア・サウジアラビア間の原油価格戦争(2020年3月8日4)が重なり、市場が急落した。 |
8位 | 1997年10月27日 | -6.86% | 1997年11月5日 | 7日 | アジア通貨危機 | アジア通貨危機の影響で、世界的な市場不安が広がり、米国市場も大きく影響を受けた。 |
9位 | 1998月8月31日 | -6.80% | 1998年9月14日 | 9日 | ロシアショック | ロシアのデフォルト(国家債務不履行)とそれに伴う世界的な金融市場の混乱が影響し、投資家のリスク回避姿勢が強まったため。 |
10位 | 2008年11月20日 | -6.72% | 2008年11月24日 | 2日 | リーマン・ショック | 自動車業界の救済策に対する不透明感(2008年11月18日)や景気後退の深刻化懸念が高まり、投資家の信頼感が低下したため。 |
過去30年での日次下落率は-11.98%。その時にどうなった?
これはコロナ禍の2020年3月16日に起こったことであるが、わずか17営業日で回復した。びっくりするような事実である。

尚、この日次下落は、複合的な下落の中で起こっており、1つの理由が3月16日が月曜日であり週末の動きが一気に反映されたということもある。なお、コロナ禍としては約6か月で回復している。

直近10年のS&P 500の傾向
直近10年の傾向を詳しく考察していきたい。
過去30年の平均値と印象が違う:3%以上の下落がなかった年が40%を占める
過去30年の平均で3.5か月に1回、つまり、1年に3日から4日起こる確率があるが、過去10年の中では4年ほど3%以上の下落がない年がある。これは、相場が良かった2017年、2019年、2021年、2023年、2024年である。当たり前であるが下落は下落相場で良く起こる。相場の調子が良い時は1年通して3%以上の下落が起こらないのが、最強インデックスS&P500なのである。
S&P500のような米国大型株インデックスは非常に安定したパフォーマンスを出しているといえる。
年 | 年間リターン | 総営業日 | 1%以上の下落日 | 2%以上の下落日 | 3%以上の下落日 | 4%以上の下落日 | 5%以上の下落日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2015 | -0.7% | 252 | 31日 | 6日 | 2日 | - | - |
2016 | 11.2% | 252 | 22日 | 5日 | 1日 | - | - |
2017 | 18.4% | 251 | 4日 | - | - | - | - |
2018 | -7.0% | 251 | 32日 | 15日 | 5日 | 1日 | - |
2019 | 28.7% | 252 | 15日 | 5日 | - | - | - |
2020 | 15.3% | 253 | 45日 | 25日 | 16日 | 9日 | 5日 |
2021 | 28.8% | 252 | 21日 | 5日 | - | - | - |
2022 | -20.0% | 251 | 63日 | 23日 | 8日 | 2日 | - |
2023 | 24.7% | 250 | 28日 | 1日 | - | - | - |
2024 | 24.0% | 252 | 19日 | 4日 | - | - | - |
平均 | 11.1% | 252 | 28日 | 9日 | 3日 | 1日 | 1日 |
上記の表をより分かりやすくするために何か月に1回、X%以上の下落が起こるかを計算したのが以下の図である。大きな下落相場が来ないと3%以上の下落は、非常に稀ということになる。
年 | 年間リターン | 1%以上の下落 | 2%以上の下落 | 3%以上の下落 | 4%以上の下落 | 5%以上の下落 |
---|---|---|---|---|---|---|
2015 | -0.7% | 8.1日 | 2.0か月 | 6か月 | - | - |
2016 | 11.2% | 11.5日 | 2.4か月 | 12か月 | - | - |
2017 | 18.4% | 3.0か月 | - | - | - | - |
2018 | -7.0% | 7.8日 | 0.8か月 | 2.4か月 | 12か月 | - |
2019 | 28.7% | 16.8日 | 2.4か月 | - | - | - |
2020 | 15.3% | 5.6日 | 0.5か月 | 0.8か月 | 1.3か月 | 2.4か月 |
2021 | 28.8% | 12.0日 | 2.4か月 | - | - | - |
2022 | -20.0% | 4.0日 | 0.5か月 | 1.5か月 | 6か月 | - |
2023 | 24.7% | 8.9日 | 11.9か月 | - | - | - |
2024 | 24.0% | 13.3日 | 3.0か月 | - | - | - |
平均 | 11.1% | 9.0日 | 1.3か月 | 3.7か月 | 10か月 | 2年 |
このようにS&P500は、最強のインデックスとも言われ非常に安定したパフォーマンスを出していることがわかる。