インデックス投資

投資信託の選び方 - S&P 500連動インデックスファンドはどれが得か?

2024年6月20日

インデックス型投信信託がブームであるが、さまざまな運用会社から同じインデックスを対象とした投資信託が発売されている。メジャーなS&P 500に連動した投資信託だけでも6投信ある。そこで今回はどの投資信託を選べば良いのかを考えていきたい。

1. まずはリターンで選ぶ

基本的にリターンを見れば良い。リターンが良い商品が商品ということになる。S&P 500を対象とした6つの投資信託で1年で0.7%の差が出ている。もし1000万円を運用していたら1年間で7万円もの大差がでる。

商品名トータル
リターン(1年)1
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)+41.37%
たわらノーロード S&P500+41.31%
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド+41.20%
iFree S&P500インデックス+41.17%
インデックスファンドS&P500(アメリカ株式)+40.67%
楽天・S&P500インデックス・ファンドN/A

尚、楽天・S&P500インデックス・ファンドは、設定されてから1年未満のためN/Aと表記した。

2. 信託報酬で選ぶ

そもそも同じインデックスを対象にした投資信託なのになぜ差が出るのか?これにはいろいろな要素があるが主には信託報酬の差である。

信託報酬

株式インデックス(S&P 500)は実際に株式市場の値動きを計算しているだけで運用手数料を加味してない。投信信託の運営は無料ではできないので、この運用手数料は信託報酬という形で提示されている。

つまり、この信託報酬分は確実にインデックスよりパフォーマンスが悪くなる。これが、信託報酬を安い投資信託を選ぶべきという論拠だ。よってこの情報を以下の表に付加してみる。リターンが高い順に信託報酬が少ないことがわかる。

商品名トータル
リターン(1年)
信託報酬
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)+41.37%0.0935%
たわらノーロード S&P500+41.31%0.0935%
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド+41.20%0.0935%
iFree S&P500インデックス+41.17%0.198%
インデックスファンドS&P500(アメリカ株式)+40.67%0.4785%
楽天・S&P500インデックス・ファンドN/A0.077%

3. 運用の継続性で選ぶ

インデックス投資は長期的に投資を継続することが前提である。投資信託が運用停止になり早期償還になれば長期的なインデックス投資が成り立たないのでそのリスクを考える必要がある。

預かり資産規模

預かり資産残高が多いファンドのほうが運用停止リスクが少ないといえる。例えば、100億円のファンドで1%の信託報酬(運用手数料)だと、投信信託運営にかかわるコストが1億円以下だと黒字になる。ただし、10億円のファンドであれば2%の2000万円以上コストがかかれば赤字だ。赤字であれば運営できない。

預かり残高ができるだけ大きいファンドを選ぶべきだ。

資金流入&流出

預かり資産残高が大きかったとしてもその投資信託から資金流失が進んでいたら意味がない。そこで、そのファンドに資金が流入しているかどうかも評価する必要があるだろう。それを加味すると以下の表が出来上がる。

商品名トータル
リターン(1年)
信託報酬預かり
資産残高
資産増減
(1か月)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)+41.37%0.0935%4.9兆円+1602億円
たわらノーロード S&P500+41.31%0.0935%371億円+61億円
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド+41.20%0.0935%1.7兆円+268億円
iFree S&P500インデックス+41.17%0.198%2,521億円+126億円
インデックスファンドS&P500(アメリカ株式)+40.67%0.4785%541億円+22億円
楽天・S&P500インデックス・ファンドN/A0.077%2,151億円+241億円

こうして眺めていると現時点では「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が選ぶべきS&P 500連動インデックス型投資信託であることがわかる。そして、将来的には「楽天・S&P500インデックス・ファンド」のパフォーマンスが最も良くなりそうだということだ。

証券会社のハウスファンドか?

「楽天・S&P500インデックス・ファンド」は事実上、楽天証券でしか買えない2。非常に手数料は安いので楽天証券はこれを呼び水にインデックス投資家を呼び込みたいという思惑もあるのだろう。投資するためには楽天証券に口座を作る必要はある。

口座を作れば全部解決するようだが、解決できない問題もある。移管ができないという問題だ。移管とは、様々な理由で投資信託を他の証券会社に移すということ。移管を使えば利益確定せず(=その時点での利益に関して税金を払う必要なく)に証券会社間で投資信託を移動できる。

その点「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は幅広い証券会社で取り扱われている。その点も加味すると「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がお勧めファンドといえるだろう。

  1. 投資信託 - Yahoo!ファイナンス (24年6月19日閲覧)その他のデータもこちらのサイトを参照した  ↩︎
  2. 楽天・S&P500インデックス・ファンド | 投資信託・ETFのご案内 | 投資信託・ETFなら楽天投信投資顧問 (rakuten-toushin.co.jp) ↩︎

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