インデックス投資家に2018年の米国相場が残した教訓:市場は結構回復する

タケボウ

個人投資家 - S&P500(インデックス投資)を中心に約1億円運用中。個別株や株式指数の裁量取引も行う。債券、金、ビットコイン、1Rマンション等も保有。

インデックス投資は「持ち続けることが正解」とよく言われる。しかし実際の相場では、これを実行するのが極めて難しい年がある。

過去30年間で「最難関の年」ともいえるのが2018年だ。過去30年で、独立した10%超の暴落が2回発生した唯一の年である。 ここでいう独立したとは、10%以上下落したが、また最高値に戻り、また、10%以上下落した年という意味である。

短期間で激しい上下運動を繰り返し、先の見通しが見えない値動きをした年であった。この記事では、2018年の実データを使って「なぜそれでも売ってはいけなかったのか」を検証し、どうしたらインデックス投資を続けられるかのポイントを解説する。

2018年はどんな年であったか?

2018年は、米国株投資家にとって精神的に最も消耗する年のひとつだった。 年初から約1ヶ月で力強く上昇したかと思えば、2月に突然の急落。 夏に向けて回復・上昇したあと、10月から年末にかけて再び激しく崩れ落ちた。

このチャートで特徴的なのは、「回復してから再び崩れる」というパターンだ。 2月に急落した後、夏に完全回復して新高値をつけた。 「回復した!もう大丈夫だ」と安心した矢先に、今度はより長期・深刻な下落が始まった。

第1波:VIXショック(2018年2月)

2018年1月は、前年の好調を引き継ぎ力強く上昇。月末には2,872ptという当時の史上高値を更新した。 ところが1月31日から状況が急変。2月5日には1日で−7.8%という急落が発生し、 VIX(恐怖指数)が37.3まで跳ね上がった。

平常時のVIXは15〜20程度。37.3はコロナ前では異例の水準で 「市場参加者が極度のパニックに陥っている」ことを示す数値だ。 このパニックのさなかで保有を維持できた投資家がどれだけいただろうか。

引き金となったのは、米国の賃金上昇率データだった。 「インフレ加速=FRBが想定以上に利上げを急ぐ」という連想が市場全体を揺さぶり、 2月8日には最大ドローダウン−10.2%に達した。

しかしこのショックは短命だった。3月初旬には市場がいったん落ち着きを取り戻し、 9月末までの上昇相場が訪れるのだ。

第2波:クリスマスショック(2018年10〜12月)

9月20日に新高値2,930ptをつけた後、10月以降の下落は容赦なかった。 米中貿易戦争の激化、FRBの利上げ継続、「2019年の景気後退」への懸念が重なり、 株価は3ヶ月間にわたって下落し続けた。

10月10日:金利上昇への懸念から急落。1日でS&P500が-3.3%。FRBによる金利上昇を止めたいトランプ大統領は、連日のように自分が任命したパウエルFRB議長をSNSで非難した。

10月中旬から12月初旬:いったん反発するも再びじり安を繰返す。中国との関税戦争の解消に向けた、米中首脳会談への期待と失望を繰り返しながら、金利上昇による恐怖でドローダウンは−10%前後で推移。

12月19日:FRBが利上げを実施。パウエル議長が「バランスシート縮小は自動操縦で続ける」と発言。 これが致命的な追い打ちとなり、翌日から市場は一段安へ。

12月24日(クリスマスイブ):トランプ大統領の再三のFRBパウエル議長への批判からマーケットは大混乱。高値からの下落率−19.8%で年内底値を記録。 市場の悲観は極に達した。

急激の上昇で幕引き

12月24日に「これ以上は無理だ」と売却した投資家は、 わずか2日後の12月26日に市場が急反発(1日+5%)する光景を呆然と見るはめになっただろう。相場の転換点は、常に「最も絶望的に見えるとき」に訪れる。

ここから株価は急反発する。

2018年と2019年の連結したチャートで見ると

2018年末から2019年を通した力強い回復は、インデックス投資の本質を如実に示している。 「最も売りたくなる瞬間」こそ、最も売ってはいけない瞬間なのだ。

インデックス投資家への教訓

2018年の相場はいろいろな教訓を残した。

教訓その1: 「また下がるかもしれない」という恐怖は永遠に消えない

2018年は「2月に耐えれば終わり」ではなかった。 回復した後にさらに大きな下落が来るという経験は「1回耐えれば次は大丈夫」という思い込みを打ち砕く。

現実の相場では、下落が何度繰り返されるかは誰にもわからない。 それでも「わからないから持ち続ける」ことが長期投資の基本姿勢だ。

教訓その2: 下落理由を聞くほど売りたくなる

FRBの利上げ、米中貿易戦争、景気後退懸念 - 2018年の下落には「それらしい理由」がいくつも揃っていた。 メディアやSNSは常に「今回の下落は本物だ」という記事を量産する。

重要なのは「理由がもっともらしいほど売り気が強くなる」という人間心理を理解すること。 ニュースに反応してインデックス投資を行うと、ほぼ確実にパフォーマンスを悪化させる。

教訓その3:最も危険な心理状態に陥った時が最安値

年末は上がるというアノマリーがあるなかでの12月の急激な下落。クリスマスイブという幸せが訪れる時期での下落。こういった心理状況の時に売ってしまいがちであるが、ここが仕様の最安値であったことを考えると、心理状態とは関係なく持ち続けることの重要性がわかる。

まとめ:2018年は「持ち続けること」の価値を最も試した年

2018年のS&P500は年間−7.0%で終わったが、その裏には年間12回の5%超ドローダウンと 2回の独立した10%超暴落が潜んでいた。過去30年で最も「精神的に消耗した年」と言っても過言ではない。

それでも保有を続けた投資家は、翌2019年に+28.7%という大反発を手にした。 2018年末の絶望的な状況から、わずか12ヶ月で完全回復どころか大幅な上昇を遂げたのだ。

インデックス投資で「持ち続ける」ことが難しいのは「下落にもっともらしい理由があるとき」だ。 2018年はその典型だった。しかし歴史は繰り返す - 理由のある下落もいつか終わる。 市場に居続けた者だけが、その後の上昇を受け取ることができる。