資金量が限られている個人投資家が、短期間で株で儲けるため方法は1つだけ。短期間で大きな値動きがある銘柄を買うこと。このような銘柄には共通項がある。Twitterを中心としたSNS上での急激に情報拡散された超小型株だ。
Twitter上であまり聞いたことがないような銘柄の話題が急激に拡散し、それと連動して株価が急激に上昇する現象は目撃した投資家も多いだろう。多くの場合はしばらくすると急激に下落し元の株価に戻る。株価チャートは急激な値上がりと下落でタワーのような形状を作り出す。これをイナゴタワーという。
株式チャート上のイナゴタワーは、誰かが売って、誰かが買っているので、短期間で儲けている人が確実にいるということを示している。今回はソーシャルメディアにより作り出されたイナゴタワー化した超小型株で一発当てるということを考えたい。
超小型株は激しい値動きができる理由がある
超小型株の定義
超小型株の定義は明確にあるわけではないが、小さい資金で株価を上下できる性格を持ったものが多く
1) 時価総額は100億円以下
2) 浮動株が少ない(流動性が小さい)=安定株主が保有しているわけではなく実際市場で売り買いされている株が少ない。
3) 株価が低い=枚数を集めるの簡単
4) アナリストカバレッジがなく普段から情報発信している人が少ない=情報がないので株価を設定しやすい
5) 直近の決算が赤字続き=赤字企業のPERが意味をなさないなど一般的な分析指標が成り立たないので株価を設定しやすい
ということが上げられる。
価格が上下する=需給バランスが崩れることが重要
このような普段は平穏で見向きもされない銘柄に突如として情報が流れることで買いが殺到し急激に株価が上昇する。これをよく「需給のバランスが崩れる」という。
株価は、オークション形式で株式市場で取引されている為、その株が欲しい人が増えれば(需要が上がれば)株価は上がる。浮動株が少なくほしい人が多ければ多いほど、需給のバランスが崩れ急激に株価は上がる。
このような超小型株が株価が急激に上がるのには理論的に立証されたことなのだ。
超小型株の激しい値動きの実例(イナゴタワー&ミーム株)
イナゴタワーとは
超小型株が、SNSなどの情報伝達によって、一気に買われることで株価が上昇し、その後、急激に下落するさまをイナゴタワーと形容される。
早い段階で買って売抜ければ、短期間で莫大な利益を得ることができる。「イナゴ」という表現は、イナゴが群れをなして食い荒らすことからきている。株価が一気に上昇したことに人々が群がることをイナゴを使ってたとえたのは実にうまいといえよう。有名な事例を見ていこう。
ニチダイ(6467)
2018年1月から6月頃にイナゴタワーが発生した。尚、ニチダイについてはその後、中心的な著名投資家を巻き込んで事件化したことからも有名だ1。外資系証券会社が空売りをしていることに対抗した著名投資家という構図で描かれ、Twitterを通じて個人投資家も参加した。いずれにしてもSNSをフル活用した現代版のイナゴタワーの象徴ともいえる。
この著名投資家は、その後も、テリロジー(3356)、MTジェネック(9820)、マツモト(7901)など数々のイナゴタワーを形成しておりネットでは注目の投資家となっている。

グローバルウェイ(3936)
2021年後半に発生したイナゴタワー。創業者がTwitterで発信することに加えて株式分割が行われたことで見事なイナゴタワーが形成されていった。こちらは、ニチダイのケースとは違い、会社関係者も絡んだ件として特徴的である。

ミーム株
アメリカではこのような現象をミーム株という。人から人へと広がっていく行動やアイデアのことをミームということから、インターネット上で伝染病のようにブームになっていく株をこう表現している。
GameStop (Ticker:GME)
2020年12月から2021年1月にGameStop (GME)という会社の株がRedditを通じて話題になり爆上げした。GameStop の事例は、前述のニチダイとほぼ構図は似ている。ヘッジファンドの空売りをRedditを通じて集まった個人投資家が叩き潰すというストーリーで展開された。
当時、GameStopは、世界最大のゲーム小売店で当時株価は1ドル近辺であったもの時価総額は500億円程度あった。アメリカのミーム株は日本に比べてスケールが大きく=時価総額も大きい会社でも起こることを示唆している。
尚それからGameStopについては何度もミームが起こっている。

ジェーソン(3080)
日本でのミーム株と言えば、ネット上でのジョークから意味もなく株価が上下し、伝説化した銘柄がある。関東でディスカントショップを運営するジェーソンである。10年ほど前の現象であり現在は観測できないが当時は「13日の金曜日に株価が上昇する株」として知られていた2。
この理由は、
ジェーソン -> ジェイソン -> 13日の金曜日
という人気ホラー映画の連想で買われた。
面白いそれだけで株価が上下した良い例である。バカバカしいかもしれないがこれも相場である。
相場師:「インデックス投資は面白くない」の対極にあるもの
インデックス投資は面白くないということが言われる。そのインデックス投資の対極にあるともいえるのが、この超小型株投資のイナゴタワー投資とである。どちらかというと相場師、ギャンブラーの世界観である。株式市場の動きに合わせて素早く動く、面白いといえばそうかもしれない。
私は個人的にはタイミングを計るのが難しいイナゴタワー投資は非常に難しいと感じている。