バリュー株投資(割安株投資)とは?PER・PBR・ネットキャッシュで見つける方法

2025年12月31日

バリュー株投資(割安株投資)とは、企業の本質的な価値に対して、株価が割安だと判断される銘柄に投資するアクティブ投資の人気投資戦略だ。そもそも、なぜ割安になるかと言えば、その企業が株式市場で何らかの理由により人気を集めていないからである。

こうした人気の歪みは、株式市場で利益を得たいと考えるアクティブ投資家による発掘や、事業環境の変化、経営陣による経営改革などをきっかけに解消され、株価が本来あるべき評価水準に戻ることがある。その企業価値の評価修正の過程で利益を狙うのが、バリュー株投資である。

近年の代表例として挙げられるのが、ウォーレン・バフェット氏によって発掘された日本の総合商社株だ。バフェット氏が投資する以前、商社株は複雑な事業構造や過去の失敗イメージから長く市場で不人気だった。つまり、典型的なバリュー株だったと言える。

バリュー株投資の難しさは、株価が上昇して初めて「正しいバリュー株だった」と認識される点にある。それ以前の段階では、単なる不人気株、そして、投資家は不人気株として放置される期間は割安、つまり、なかなか上がらない株価を受け入れないといけない。

バリュー株がバリュー株になった理由

バリュー株になるためには、市場からの人気がなく放置された状況にならないといけない。それにはほぼすべての場合で説明できる理由がある。以下に内部環境と外部環境に分けて主要因について書いていく。

経営方針: コングロマリット・ディスカウント

日本の商社株にも共通して見られる現象だが、事業領域があまりにも多岐にわたると、投資家が「どの事業が、どの程度業績に影響しているのか」を把握しにくくなる。その結果、企業価値が正しく評価されず、株価が割安に放置される、いわゆるコングロマリット・ディスカウントが生じやすい。

実際、かつてのソニーグループや日立製作所、オリックスは、多角化しすぎた事業構造ゆえに市場から理解されにくく、長期間にわたって低評価に甘んじていた時期がある。

現在では、事業ポートフォリオの整理や注力分野の明確化によって評価を回復した企業も多いが、同様の構図は今なお存在する。例えば楽天は、ECや金融事業に加えて携帯通信事業を抱えており、その赤字が全体の収益性を押し下げているとの見方から、企業価値が過小評価されやすい状況にある。

このように、「事業が複雑すぎて理解されない」こと自体が、バリュー株を生み出す一因となるケースは少なくない。

事業性:展開する市場や商品が極端にニッチである

企業が高い収益力を持つ製品を有していても、その市場や商品自体があまりに専門的・限定的である場合、投資家から十分に理解されず、評価が進まないことがある。いわば「分かりにくさ」そのものが、株価の重石になるケースだ。

代表例としては、日本マイクロニクスが手がける半導体検査用の「プローブカード」や、浜松ホトニクスの「光電子増倍管」が挙げられる。これらはいずれも世界的に高い競争力と収益性を持つ製品である一方、用途や技術背景が極めて専門的であるため、一般の投資家には市場規模や成長性、業績への寄与が直感的に理解されにくい。

その結果、実態としては高付加価値・高収益ビジネスであっても、「何を作っていて、なぜ強いのか」が伝わらず、市場から過小評価される状況が生まれやすい。このようなニッチ市場特有の構造も、バリュー株が形成される重要な要因の一つと言える。

評価基準:保有している資産が正しく評価されていない

企業が多額の優良資産を保有していても、それが株価に十分反映されていないケースは少なくない。特に日本企業では、長年にわたって取得した不動産や有価証券を低い簿価で計上したまま保有していることが多く、実際の経済価値と会計上の評価額との間に大きな乖離が生じやすい。

この傾向は、日本の不動産企業で顕著である。代表例として、丸の内エリアの大規模地主である三菱地所が挙げられる。同社は都心一等地に膨大な不動産資産を保有しているが、その多くは取得原価ベースで計上されており、含み価値が株価に十分織り込まれていないと指摘されてきた。

このように、資産の質や規模そのものは極めて高いにもかかわらず、会計制度や市場の見方によって企業価値が過小評価されることがある。資産内容を丁寧に分解し、時価や潜在的な収益力を見極めることで、割安なバリュー株が浮かび上がる典型的なパターンと言える。

外部環境:市場環境が悪く、企業価値の評価が難しかった

企業の本質的な競争力や経営努力とは無関係に、外部の市場環境によって業績や将来性が悲観的に見られ、株価が低迷するケースがある。こうした状況では、短期的な環境要因が過度に重視され、企業価値の中長期的な視点での評価が行われにくくなる。

典型例が、長期にわたる低金利時代における銀行株である。低金利環境下では利ざやが圧迫され、「金利が低い=銀行は儲からない」という単純な見方が広がりやすい。その結果、収益構造の多様化やコスト削減、与信管理の高度化といった個別行の取り組みが十分に評価されず、業界全体が一括りで低評価される傾向があった。

このように、外部環境の悪化が続く局面では、市場参加者が短期的な逆風を過大視しがちになる。その歪みが解消される局面では、業績の小さな改善や環境変化をきっかけに、株価が大きく見直されることも多く、バリュー投資の好機が生まれやすい。

そして「割安である理由」は極めて重要だ

つまり、株価が割安に見えるバリュー株には、必ず「なぜ割安なのか」という背景が存在する。この理由を理解せずに、単にPERやPBRといった指標の低さだけで投資判断を行うのは危険である。

なぜなら、世の中にはいわゆる「バリュートラップ」と呼ばれる銘柄が存在するからだ。バリュートラップとは、PERやPBRが極めて低い水準にあり、一見すると割安に見えるものの、実際には構造的な問題を抱えており、企業価値が将来的にも改善しない可能性が高い企業を指す。こうした企業は「割安」なのではなく、「永続的に評価されにくい状態」に置かれているだけである。

前述した、事業の複雑さ、ニッチすぎる市場、資産評価の歪み、外部環境による逆風といった要因は、いずれも一時的に企業価値が正しく評価されていない理由になり得る。つまり、正当なバリュー株であり、バリュートラップではないといえる。

次に紹介する「バリュー株の見つけ方」では、初手として単なる数値の低さをキーにスクリーニングする方法を紹介するが、その結果出てきた企業には常に、一時的に企業価値が正しく評価されていない理由を考えてほしい。

バリュー株の見つけ方

バリュー株を見つける際に重要なのは、「なぜ割安なのか」という理由を考える前に、まずは候補となる銘柄を効率的に抽出することだ。
個別企業の背景を深掘りするのは、その後のステップで十分である。

最初の一手として有効なのが、PERやPBRなどの定量指標を使い、オンライン証券会社が提供するスクリーニングツールでバリュー株候補を洗い出す方法である。代表的なツールとしては、マネックス証券が提供する「マネックス銘柄スカウター1」などが挙げられる。

PERを使ったバリュー株(割安株)の見つけ方

PER(株価収益率)を使った投資戦略は、最も基本的かつ広く用いられているバリュー株の探し方である。
PERとは、株価が1株当たり純利益(EPS)の何倍で評価されているかを示す指標であり、企業の「稼ぐ力」に対して株価が高いか安いかを見るものだ。

一般に日本株市場のPER平均は15倍前後と言われるが、この数値は業種によって大きく異なる。そのため実際の分析では、市場全体の平均と比較するのではなく、同業他社との相対比較によって割安・割高を判断することが重要になる。

PERを起点とした具体的な企業分析の考え方については、別記事「企業分析はPER(株価収益率)から始めよう!」で詳しく解説しているので、併せて参照してほしい。

PBRを使ったバリュー株(割安株)の見つけ方

近年、特に注目を集めている指標がPBR(株価純資産倍率)である。PBRとは、企業の株価が1株当たり純資産(BPS)の何倍で評価されているかを示す指標であり、PERが「利益」に注目するのに対し、PBRは「資産」に注目する点が特徴だ。

このPBRが一気に注目を浴びたきっかけが、2023年3月に東京証券取引所がPBR1倍割れ企業に対して改善要請を行ったことである。PBRが1倍を下回るという状態は、理論上「事業を継続するよりも、解散して資産を株主に分配したほうが価値が高い」と評価されていることを意味する。

もちろん、これは事業そのものに価値がないという意味ではなく、市場評価が歪んでいる状態を示しているに過ぎない。だからこそ、東証は資本効率の改善や株主還元の強化を通じて、企業価値の見直しを促したのである。

なお、この改善要請が出された2023年3月時点では、日本の上場企業の半数以上がPBR1倍割れという状況だった。これは、日本市場全体として、資本効率や株主還元に改善余地のある企業が非常に多かったことだけでなく、バリュー株がたくさんあったことを示している

ネットキャッシュ比率を使ったバリュー株(割安株)の見つけ方

PER・PBRに加えて、近年バリュー投資家の間で注目されている指標がネットキャッシュ比率である。これは、企業が保有する現金および現金同等物から有利子負債を差し引いた「実質的な現金」を、時価総額で割った指標だ。

ネットキャッシュ比率が高い企業は、**キャッシュを十分に活用できていない「金余り企業」**とも言える。このような企業は、M&Aの対象になりやすいほか、株主からの圧力によって配当増額や自社株買いなどの株主還元を迫られやすい。

一方で、ネットキャッシュ比率が高いということは、成長投資先が見つかっていない可能性も示唆する。そのため、株価上昇のドライバーは事業成長ではなく、株主還元策が中心になるケースが多い点には注意が必要だ。

この指標が注目されるようになった背景には、日本で最も実績を残したファンドマネージャーの一人である清原達郎氏が、著書2の中で銘柄選定においてネットキャッシュ比率を重視していると明かしたこともある。

バリュー株投資は取り組みやすい投資手法である

バリュー株投資は、グロース株投資と比べて、投資手法や考え方が長年にわたり体系化されており、比較的取り組みやすい投資スタイルと言える。PERやPBRといった定量指標を起点に企業を分析するため、感覚やストーリーに頼り過ぎることが少なく、初心者でも向き合いやすい投資方針だ。

ただし、PER・PBR・ネットキャッシュ比率といった指標は、あくまで「割安に見える銘柄を見つけるための入口」に過ぎない。本当に重要なのは、そこから一歩踏み込み、「なぜ割安なのか」「その理由は一時的なものなのか、それとも構造的な問題なのか」「将来、その評価は是正される可能性があるのか」を見極めることである。

この視点を欠いたまま数値だけを追いかけると、バリュートラップに陥るリスクが高まる。一方で、割安である理由と、その解消シナリオを冷静に分析できれば、バリュー株投資は非常に再現性の高い手法となる。

このバリュー株の分野の巨匠として知られるのが、アメリカの投資家であるウォーレン・バフェットだ。彼の投資哲学や銘柄選定の考え方を学ぶことで、「本当の意味での割安」とは何かを理解する手助けになるだろう。バリュー株投資に取り組むのであれば、ぜひ一度は参考にしてほしい。

参考記事: 長期バリュー株投資家のウォーレン・バフェット氏の買い方

バフェット氏は、長期バリュー株戦略を取るが短期保有(打診買い)も多く行う。詳しい手法は以下から。

参考記事: 長期バリュー株投資家のウォーレン・バフェット氏の売り方

バフェット氏は「我々のお気に入りの保有期間は永遠だ」と明言を残したが別に売らないわけではない。売り方については以下を参考にしてほしい。

参考記事: 包括的なアクティブ投資手法を知りたかたへ

バリュー株投資も含めて、アクティブ投資全般の手法について知りたい方は「アクティブ投資の主要戦略を体系化して学ぶ完全ガイド」を読んで他の投資戦略も理解してほしい。

また、どんなアクティブ投資に向いているのかがわからないという方は、簡易的な投資スタイル診断などを活用し、自分の適性を確認してほしい。

  1. 日本株銘柄分析ツール マネックス銘柄スカウター | 情報ツール | 投資情報 | マネックス証券 ↩︎
  2. わが投資術 市場は誰に微笑むか | 清原 達郎 |本 | 通販 | Amazon ↩︎

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