投資でリターンを得るために重要なのは、「何を買うか」だけではない。株価は常にランダムに動いているわけではなく、特定のタイミングで大きく変動しやすい局面が存在する。「いつ買うか」という視点は、短期的な成果を大きく左右する要因になり得る。
決算発表というような株価が当たり前に動くタイミングのほかにも、IPO、株式分割、指数採用など、株価が動きやすい局面には一定のパターンが存在する。また、個別株だけでなく、市場全体のシーズナリティーを狙うというタイミング投資戦略もある。
本記事では、こうしたイベント発生の前後を狙う「タイミング投資」に焦点を当て、効率的に利益を狙いたい投資家にとって、知っておくべき考え方を体系的に整理する。
個別株イベント型のタイミング投資
個別株は、突発的な企業発表によっても大きく上下するが、そうした動きは事前に予測することが難しい。その一方で、以下の4つは事前予測がより容易なタイミングと言える。
決算タイミング投資
タイミング投資で、一番イメージが付きやすいのは「決算前に仕込む」という投資スタイルだろう。
企業の株価が大きく動く要因の一つが業績であり、その業績が市場に開示されるのが決算発表である。そこで決算タイミングの直前で投資を行い超過リターンを出そうといのが決算タイミング投資である。
企業業績が良ければ株価が上がるわけでもない。企業業績が市場の期待を超えたのか?という非常にあいまいな概念で株価の上下運動が行われる。また、米国のハイテク企業などの注目企業は、決算タイミングで多くの人の注目を浴びており短期間で大きく値が動く。非常にギャンブル的な要素も強い投資戦略でもある。
IPO投資(上場タイミング)
IPO(Initial Public Offering)とは、株式公開、ある企業の株を株式市場で売買することをスタートすることを指す。この株式公開日の初めての株価(初値)が、事前の売り出し価格よりも高くなる傾向にある。これを利用し、売り出し価格で買い(事前売り出しに応募し)、公開初日の初値、もしくは、初値に近い時間帯で売り、利ざやを稼ぐという戦略だ。
確実とは言えないが人気の大型株式公開ではほぼ上昇する。最近では東京メトロの株式公開があったが、
・ 公募価格は1200円
・ 初値は1630円(+35.8%)
・ 公開日の終値は1739円(+44.9%)
というのが結果だ9。1日で45%程度のリターンが取れたことになる。
もちろん株には100%はない。ソフトバンク(9434)が上場した際には、
・ 公開価格は1500円
・ 初値は1463円(-2.5%)
・ 公開日の終値は1282円(-14.6%)
と大幅に割れをした10ことも参考情報として書いておく。
株価よりも問題なのは、こうした上昇が望めそうな株式は人気の為、事前購入は抽選になるケースがほとんどで、希望通りには購入できないということにある。つまり、うまい話はないということになる。
株式分割タイミング投資
企業が株式分割を行うタイミングを使った投資である。株式分割を行うと株価が下がることから買いやすくなる。これが呼び水となり株価が上がるという現象が観察される。
株式分割は企業価値に直結しないので、株式を分割したら株価が上がるというのは理論的には説明できないが、現象として良く起こるとされている。
インデックス(指数)採用タイミング投資
このインデックスの入替えをタイミングを利用した投資戦略である。
日経平均は指数の入れ替えタイミングは、4月と10月の年2回、3銘柄が入れ替えの上限とルールが決まっている。日経平均に採用されるとインデックスファンドなどに買われる一方で、銘柄から外れるとインデックスファンドの取引対象から外れる。これによって、株価の上下が起こる。「指数の銘柄入れかえを使った売買」はこのタイミングを利用した投資戦略である。
尚、入れ替え銘柄が発表される前に証券会社のサイトやインターネットメディアで入替銘柄予想記事が公開されることが多い。誰が当たっていたか外れていたか?是非検索してみてほしい。
市場構造型のタイミング投資|シーズナリティーを追う(アノマリー投資)
過去の市場データを分析すると、特定の時期に株価が上がりやすい、あるいは下がりやすい傾向が観察されることがある。こうした季節性や統計的な偏りを利用する投資手法が、アノマリー投資である。
代表的な例として知られているのが、
・「年末は株価が上がりやすい」
・「夏場は株価が停滞しやすい」
といった市場のシーズナリティーである。
アノマリー投資の特徴は、個別企業の業績やニュースに依存せず、市場全体の過去データに基づいて判断する点にある。そのため、銘柄分析に多くの時間をかけられない投資家でも取り組みやすい。
また、アノマリーが広く知られるようになると、その効果が薄れる、あるいは消失する可能性も指摘されている。したがって、アノマリー投資は「必ず儲かる法則」として扱うのではなく、確率的に有利なタイミングを探る補助的な判断材料として位置づけるのが現実的だろう。
詳しくは、アノマリー投資とは?市場アノマリーの例と信頼性と再現性をデータで検証を参照してほしい。
まとめ|タイミング投資は市場のクセを見抜くこと
タイミング投資は、偶発的に発生するイベントを狙って投資するわけではない。決算、IPO、株式分割、指数採用といった株価が動きやすい構造的なイベントや、市場全体に繰り返し観察されるシーズナリティーを理解し、その前後を狙う投資戦略である。
一方で、どのタイミング投資にも共通して言えるのは、「必ず儲かる局面」は存在しないという点だ。市場の期待、参加者の行動、情報の織り込み具合によって結果は大きく左右される。そのため、タイミング投資は、株価が動くため短期的な利益や損益が出やすいだけであり、利益を保証しているわけではない。
重要なのは、自分がどのタイプのタイミング投資を使っているのかを自覚し、そのリスクと特性を理解したうえで戦略に組み込むことである。タイミング投資は、アクティブ投資の中でも「使いどころ」を誤らなければ、有効な選択肢になり得る。
なお、こうしたタイミング投資を含めたアクティブ投資全体の考え方や主要戦略を体系的に整理した記事として、アクティブ投資とは?主要戦略を体系化して学ぶ完全ガイドも用意している。タイミング投資を全体像の中で理解したい場合は、母艦記事としてあわせて参照してほしい。
タイミング投資は、投資判断の精度を高める一つの武器にはなり得る。しかし、それが利益を保証するものではないことを、投資家は常に意識しておく必要がある。
