テーマ株投資とは、AIや半導体、防衛などの成長テーマに関連する複数の企業へ分散投資し、市場平均を上回るリターンを狙うアクティブ投資戦略である。AI、電気自動車、半導体、防衛、脱炭素といった社会的・経済的な潮流を「テーマ」として捉え、その恩恵を受ける企業群に投資する点が特徴だ。
株式インデックスは全業種を幅広くカバーしているため、安定したリターンが期待できる一方で、特定分野が急成長した場合でも、その恩恵は薄まってしまう。テーマ株投資は、この点に着目し、市場全体ではなく、成長が集中する分野に資金を寄せることで超過リターンを狙うグロース株(成長株)投資戦略といえる。
つまり、個別企業の分析が難しいグロース株投資の中でも、テーマ株投資は比較的取り組みやすい手法といえる。
テーマ株投資の具体例
昨今、ウクライナとロシアの戦争により、これまでなく国際情勢が緊張している。この流れでは、各国の防衛費が増加する見通しが強い。この「防衛費拡大」という時流を株式として表現したものが、防衛関連株へのテーマ投資である。
日本株であれば、航空・防衛分野で中核的な役割を担うIHI(7013)、防衛装備品から宇宙・エネルギーまで幅広く展開する三菱重工業(7011)、防衛・計測機器を手がける東京計器(7721)などが代表的な銘柄となる。
特定の1社に賭けるのではなく、「防衛」というテーマで複数社に分散して投資する点が、テーマ株投資の重要な特徴である。
テーマ株投資のメリット
テーマ株投資のメリットは、大きく分けて「リターンの集中」と「分散効果」の2点に集約される。これは、グロース株(成長株)投資とインデックス投資の中間的な性格を持つ投資戦略ともいえる。
市場平均を上回るリターンを狙える可能性
特定のテーマが時流に乗り、投資家の注目を集めれば、関連銘柄全体が買われやすくなる。その結果、全業種を含むインデックス投資よりも高いパフォーマンスを発揮することがある。
個別株よりもリスクが低減する
また、単一銘柄への集中投資と比べると、テーマ株投資には一定の分散効果がある。一社に集中して投資すればリターンの面では多くなるが、銘柄選定が難しくなる。その点、個別企業の業績不振や不祥事による影響を、テーマ全体で吸収できるテーマ投資のほうがリスクは少ない。
テーマ株投資におけるテーマの見つけ方
テーマ株投資では、投資家自身が社会や経済の変化からテーマを見つけ出す必要がある。前述のウクライナ情勢ではないが、ニュース等から、自分がこれが次の注目を集めるのではないかというテーマを探しだすという作業が必要だ。個別企業を見つけるよりは容易ではあるが、それでも、それなりの情報感度を上げておかないといけない。
いずれにしても、テーマに合った企業も発掘していかないといけない。これはネット検索などで地道に探していくのが良いだろう。
テーマ株投資でパクリ投資は使えるのか?
と言っても難しい人は、パクリ投資(クローン投資)という手法が参考になる。流行がより早く確立する米国のテーマ株のETF(上場投資信託)を見るのが参考になる。この分野ではGlobal X社が強い。「Global X Thematic Growth ETF」という形で約30のETFを運営しており1、どのようなテーマでETFが設定されているかわかる。これのそれぞれの時価総額を調べていけばどのテーマが人気があるかがわかる。
前述の防衛関連で言えば、Global X Defence Tech ETF (DTEC) という防衛技術に特化したテーマ型ETFがある。
また、ネット情報を見ていると、日本で新しくテーマETFが新しく設定されたという情報が発表される。それは、そのテーマがこれから盛り上るであろうと商品設計者(プロ)が考えたということでもある。例えば「PBR1倍割れ解消推進ETF2」というのがあるが、これは、東証がPBR1倍割れ企業に対し、改善策の開示を要請3というテーマ(とアクティブETFの解禁)が、切欠になって誕生した。
何かテーマが生まれるときには、新しい金融商品ができるのでそれも注目しておきたい。
テーマ株投資の最大のリスク:テーマの賞味期限
一方で、テーマ株投資には注意点も多い。最大のリスクは、「テーマの賞味期限」である。テーマは永続的なものではなく、期待が先行しすぎると、成長が鈍化した瞬間に株価が大きく調整することがある。その意味では、テーマ株投資ではタイミング投資の要素も持ち合わせている。
例えば、現在からAIをテーマにした投資を行った場合でも、十分なリターンが得られるかは慎重に検討する必要がある。
また、テーマが人気化した後では、すでに株価に成長期待が織り込まれているケースも多い。その場合、テーマが実現してもリターンが限定的になることもある。テーマの本質と成長余地を冷静に見極める視点が不可欠だ。
インデックス化が進むテーマ株
近年では、テーマ株投資にもインデックス投資の考え方が取り入れられている。特定テーマに属する企業群を指数化し、それに連動するETFや投資信託が数多く登場している。
人気のFANG+指数に連動したETFや投資信託もテーマ株投資と言える。FANG+は、GAFAを中心とした米国の成長テクノロジー企業に集中投資するテーマ型インデックスである。個別株選定の難しさを回避しつつ、特定成長テーマへの投資を可能にしている。
また、歴史的に人気が高いテーマ型株式指数にSOX指数がある。SOX指数は「半導体」という明確なテーマを持つ株式インデックスであり、テーマ株投資をインデックスという形で実践できる仕組みといえる。
このように、テーマ株投資は個別株を自分で集めることもできるが、インデックス投資としても実践できる。
まとめ: テーマ株とは?
テーマ株投資は、成長が集中する分野に資金を投じることで、市場平均を上回るリターンを狙う戦略である。個別株より分散が効き、インデックスよりも高い成長性を期待できる点が魅力だ。
一方で、テーマの持続性や過熱感を見極める力も求められる。時流をどう株式として表現するか、それがテーマ株投資の本質である。
その上で特定の1つの個別企業を選ばなくてもよいという意味では、初心者が最も取り組みやすいグロース株投資の1つの手法と言えよう。より踏み込んだグロース株投資全体の考え方については、こちらの記事で全体像を整理している。また、最も夢がある小型株集中投資についてはこちらの記事を参考にしてほしい。
アクティブ投資を包括的に学ぶ
テーマ株投資も含めて、アクティブ投資全般の手法について知りたい方は「アクティブ投資の主要戦略を体系化して学ぶ完全ガイド」を読んで他の投資法を試してほしい。
また、どんなアクティブ投資に向いているのかがわからないという方は、簡易的な投資スタイル診断などを活用し、自分の適性を確認してほしい。
