個人投資家の9割は株式トレードで儲かってない?勝てない説への反論

2023年9月8日

「株式トレードは個人投資家には勝てない」
「短期売買は投機であり、お金を失うだけだ」

こうした意見を、投資に関する記事や書籍で一度は目にしたことがあるだろう。
実際、俗説ではあるが「株式投資をしている個人投資家の9割は儲かっていない1とも言われている。そして多くの場合は、トレードではなくほったらかし投資のインデックス投資を薦めている。

これは株式トレードで勝つのは相当難しいということを示唆している。本屋に行けば「株式トレードでこれだけ儲かる!」という本があふれている。そういう状態だと、インターネット上からこの俗説が消えてもおかしくない。株式トレードで損をしている個人投資家が多く、いろいろなところでぼやいているから、この9割説が維持されていると考えられるつまり、結構勝てないのではないか?

そこで、本記事では「株式トレードは個人投資家には本当に勝てないのか?」という疑問について、データ・生存者バイアス・実例をもとに冷静に考察する。結論は「難しいかもしれないが儲からないともいえないところが株式トレードの楽しいところ、ルールも守ってチャレンジ!」ということだろう。

株式トレードは個人投資家には勝てないと言われる理由【データと現実】

株式トレードはするべきではないという結論の一つは「そもそもプロも株式トレードで勝ててない」ということになる。

このような主張の論拠の一つは、多くのアクティブファンド(自己裁量でアクティブ投資をやっているファンド)がインデックスファンド(単に市場平均=株価指数に連動しているファンド)にパフォーマンスで負けているという事実である。アメリカ大型株で15年間という期間で見た場合、S&P 500に勝っているアクティブファンドの数は僅か12%である2

プロでも、株式市場の平均に長期的に勝てるのは12%しかいないのであれば、長期的に勝てる個人投資家は、さらに少ないだろう。自己裁量で株を売買するのではなく、インデックスファンドを買って寝ていたほうが良いということになる。

株式トレードで勝っている人がたくさんいる?【生存者バイアス】

この論に反論するのは簡単だ。実際に株式投資で勝っている人は多数存在しているからだ。YouTubeや経済番組などで、株式トレードで成功した人を目にする機会は多い。

プロ投資家の主張と生存者バイアス

勝っている人の第1のグループはプロである。アクティブファンドのファンドマネージャー、もしくは運営していた、元ファンドマネージャーである。これらのプロの主張はシンプルで、自分はインデックス、つまり、市場の平均よりも良いパフォーマンスでファンドを運営してきたのだから、他人にもできるという主張だ。。

勝っているプロの主張は事実である。ただし、それらは運用に成功し生き残った人の声であり、同じ方法を試して市場から消えていった多数の投資家は表に出てこない。これを生存者バイアスという。

尚、アメリカでもっとも有名な株の指南役ともいえるジム・クレイマー氏もそこまでインデックスファンドを押していない。これは、彼がヘッジファンドのマネージャーとして、市場を上回るパフォーマンスを出してきた自負からだろう。

勝っている人の第2のグループは、有名な個人投資家である。本などを執筆し、やり方を公開するからフォローすればできるんじゃないか?という主張である。 この人たちも勝ち上がってきた生き残りなので「生存者バイアス」がかかっている。

トレードで勝てるというのはごくわずかな人の生存者バイアスから生まれた?

ウォーレン・バフェット氏が、「ほとんどの個人投資家は、自分で株を選ぶより S&P500 を買うべきだ」と主張していることでもわかる。

バフェット氏はアクティブ運用、特に、バリュー株投資で実績を上げてきた凄腕投資家であるが、一般人はそんなことをせずに、S&P 500、つまり、インデックスファンドを買ったほうが良いと言っているのだ3。これは「勝てる人が存在する」ことと、「誰もが再現できる」ことは別である、という現実を示している。

結論は、どこまで行っても、アクティブ投資で勝ってきた人がいるので「株式トレードで勝てる」可能性はあるが「難しい」だろうという結論に落ち着く。そして、勝ってきた人から学ぶというのが近道だろう。

個人投資家が株式トレードで必要なこと: 退場しない戦略

この記事を読んでいる人ほぼ100%が、凄腕ファンドマネージャーやカリスマ投資家ではないだろう。つまり、私たちがやってパフォーマンスをうまく出せる可能性は、極めて少ないんではないかと思う。

その一方、株式トレードは面白い。面白い銘柄分析をしたり、いろいろな戦略を立てたりとゲームとしては、非常によくできた面白いゲームで楽しい。休みの日にゲームで時間をつぶすぐらいならば、株式トレードゲームをやったほうが効率的だろう。

このゲームに勝ったら、明日からお金を稼ぐために会社に行く必要はない

おすすめは、コア・サテライト戦略をとり、例えば、金融資産の3割までと最大限と決めて、自分の裁量で運用してみるのが良いのではないか?

つまり、勝つためではなく負けないことを考えるべきなのである。

厳正なる資金管理

株式トレードで勝てるかどうかはわからない。株価の短期的な上下は予測が難しく、運の要素も強い。

例えば、自分の資産の3割と決めてしまえば、リスクは限定できる。また、この3割の資産を守るために利益確定や、損切の撤退タイミング等のルールをきっちりと決める必要があるだろう。

例えば、3割の資産を5分割して、6%ずつ全力で使っていけば、短期間でお金を失うということはないだろう。

明確な株式トレード戦略の立案

株式トレード戦略とは、簡単に言えば なぜその銘柄に投資すれば、儲かるのかということを他人に論理立てて説明できることである。

投資戦略にはいろいろなものがあり当サイトでも数多く紹介している。また自分でも開発できる。ただし、失敗しないためにも先人が開発した投資戦略を学ぶことが重要だろう。株式投資の勉強というのはこの投資戦略の勉強のことかもしれない。

やり続ければチャンスも

1つ目と2つ目で、どちらかが重要かといえば、断然1つ目かもしれない。2つ目は、正直、結果がすべて、つまり、将来はよくわからないという部分が残る。ただし、1つ目は、自分の規律のため、自分で決めることができるからだ。

結論として、株式トレードで勝てる可能性はゼロではない。しかし、それは極めて難しく、再現性が高いとは言えない。
だからこそ個人投資家は、「勝つ方法」を探すよりも「負けない設計」を優先すべきである。

  1. この説は広く流布しているが、明確な根拠がないとされているいわゆる俗説: 般の人々のあいだで広く信じられているが、学術的・科学的な根拠が弱い、または誤っている可能性のある説明や考え方である ↩︎
  2. インデックスファンド vs. アクティブファンド - 投資信託はどっちが良いのか? - 教えてほしかったお金の話 (enjoy-investments.com) ↩︎
  3. Warren Buffett's Simple Advice For New Investors: Start With An S&P 500 Index Fund ↩︎

-アクティブ投資