投資のハロー効果とは?人気テーマ銘柄の落とし穴

ハロー効果とは、ある対象の目立つ特徴に引きずられて、他の要素まで一括して高く評価してしまう認知バイアスである。投資の世界では、「有名企業」「人気銘柄」「成長イメージ」といった分かりやすい要素が、企業価値を冷静に判断する視点を曇らせる。

ハロー効果とは何か?

ハロー効果とは、ある一つの目立つ特徴や成功イメージが、対象全体の評価を過度に引き上げてしまう認知バイアスのことである。

この概念を最初に学術的に示したのは、心理学者エドワード・L・ソーンダイクである。1920年の論文 A Constant Error in Psychological Ratings において、彼は「一つの優れた印象が、能力や人格など無関係な評価項目にまで影響する」ことを実証した1。ハロー効果の分かりやすい例として、写真に写った人物が魅力的で身だしなみも整っていると、それだけの理由で「きっと性格も良い人だろう」と思い込んでしまうことがある。

投資判断も同様だ。本来は売上、利益、成長率、財務体質といった複数の指標を総合的に評価すべきにもかかわらず、CEOの過去の経歴がすごいという印象が、すべてを正当化してしまう。

よくある投資におけるハロー効果

以下がよくある投資におけるハロー効果の実例だ。

対象銘柄ハロー効果が生まれる要因本来確認すべき視点
日本株の高配当銘柄過去の配当が安定しており、雑誌などで高く評価されていたというハロー効果ビジネスモデルの永続性、将来も配当を維持できる収益構造か
SNSで話題のAIグロース株有名インフルエンサーが「儲かった」「勝った」というハロー効果将来にわたって利益を生み出せる能力があるか、黒字化の道筋
社会貢献活動で有名な個別株正しいことをやっている企業は良い投資先だというハロー効果事業としての収益構造、社会性と利益が両立しているか
成長するテーマに属する個別株成長テーマに乗っているというハロー効果その市場内での競争ポジション、優位性の持続性、個別企業が利益を上げられるか

テスラのハロー効果がEVバブルを引き起こした?

特に最後のテーマ株については、ハロー効果で業界の大きなバブルにつながることがある。2020年後半から2021年前半のEVバブルの際には、テスラの大成功のハロー効果でEV(電気自動車)関連株がバブル的な評価が広がった。特に当時は、商用車版テスラ、ピックアップトラック版テスラなどの銘柄が流行した。

なぜ投資判断でハロー効果が強く働くのか

EVバブルに例を取るまでもなく、投資は将来を扱う行為であり、不確実性が極めて高い。そのため人は、判断を単純化し、不安を減らす材料を無意識に求める。「成功した企業がある」という事実は、投資家に安心感を与える。株価は企業の“今の実力”ではなく、“将来への期待”を含んで形成されるため、期待が過剰になれば割高になる。

1977年には、ニスベットとウィルソンが The halo effect revisited という研究で、「人はハロー効果の影響を自覚しても、判断から完全に排除することはできない」ことを示した。つまり、ハロー効果は知識だけでは防ぎきれない、非常に根深いバイアスなのである2

ハロー効果と確証バイアス

投資においては、複数の投資心理学的な歪みが作用する。このハロー効果確証バイアスは、投資判断で連鎖して起きやすい心理バイアスである。

これは、ハロー効果が「最初の思い込み」を作り、確証バイアスが「その思い込みを固定化・強化する」ことで正しい投資判断を阻害すると言える。具体的に言えば、ハロー効果によって「有名企業」「人気銘柄」といった好印象が先に形成されると、その評価が前提となり、その判断を支持する情報ばかり集め、反対のデータやリスク要因を無意識に軽視してしまう確証バイアスが働くということだ。

この組み合わせが続くと、割高な銘柄でも判断を修正できず、大きな損失につながる可能性が高まる。このように投資心理は複合的に歪みを作り出す。投資心理を体系的に整理した以下の記事を参考にしてほしい

まとめ|ハロー効果に流されない投資判断の作り方

ハロー効果は、人間の認知の仕組みに根ざしたバイアスであり、完全に避けることはできない。しかし、自分がその影響を受けやすいと理解するだけでも、投資判断の精度は大きく向上する。

有名企業だから安心、みんな買っているから安心、人気銘柄だから正解、こうした直感的な判断が頭に浮かんだときこそ、一歩立ち止まるべきだ。その際に以下の1つのマジックワードを自分に投げかけてほしい。

「その期待はすでに株価に織り込まれていないか?」

投資で重要なのは、心地よい安心感ではなく、冷静な合理性である。ハロー効果を理解することは、人気に流されない長期投資への確かな一歩となる。

  1. https://web.mit.edu/curhan/www/docs/Articles/biases/4_J_Applied_Psychology_25_(Thorndike).pdf ↩︎
  2. The Halo Effect - Nisbett and Wilson's Experiment ↩︎