投資を始めたばかりの人が「自分は投資に向いていないのではないか」と不安になるのは自然な反応である。
その要因にはいろいろあるが、その1つに損を経験するからというのがある。ただし、この損は、最終的な損ではない。投資は長期で取り組むので、この損は一時的であることが多い。ただし、不安には感じる。
つまり、投資初心者が不安を抱える理由は、意志の弱さや勉強不足ではない。
値下がりが強烈な不安を発生させるから
初心者が投資に強い不安を感じる理由は、株価の値下がりに対する経験と耐性がまだ形成されていないことにある。
人間には、利益よりも損失を強く感じる心理的傾向が備わっている。行動経済学におけるプロスペクト理論1と呼ばれ、この理論では「損失のほうが同額の利益よりも痛みを感じる」ことを証明している。これは、個人の性格は関係なく、人間の性質なのである。
損したほうが痛みを感じやすく、投資をしたことがなければ、この投資損の痛みを人生で今まで感じたことはない。そうなると、ちょっとした損失で不安、つまり強い嫌な気持ちを発生させてしまうのだ。それが、前日からわずかに下がっても痛むというのが、投資初心者の心理だ。
つまり、投資というのは不安を生むものなのである。
そしてその値下がりは不可避で「一度は損した状況」になるから
損をしなければ痛みを感じない。
しかし、株式や投資信託は、購入した瞬間から価格が上下する。損を抱えないということは、買った瞬間からずっと右肩上がりに値上がりするということであるが、それはなかなか起こらない。
以下が投資信託の積立の実例だ。積立を初めて約3か月ぐらいたったところで含み損が発生して、6か月ごろには大きく含み損の額は広がっている。もちろん、この時点では将来は見えない(オチが知りたい人はこの記事を最後まで読んでください)。スタートしてから3か月までは、わずかであるがプラスのリターンを出していたのだ。

「ああ売っておけば良かった!」という心理が働く。
ただし、繰り返しになるが、これは投資が下手だから、もしくは初心者だから、起きる現象ではない。シンプルに、金融商品は価格が上下するから起こることで、それは誰にとっても不可避だ。積立投資などではこの現象が起こらないほうが奇跡である。
結論:「含み益バリア」が形成されるで辛抱すれば勝ち
投資を継続していくと、含み益の含み益が積み上がる。
。これは、株式市場は右肩上がりの為、負け続けるのも難しいからだ。
この積みあがった含み益は、俗にいう「含み益バリア」と呼ばれるという精神的な安心感をもたらす。以下が含み益バリアができる前と後の対比だ。

その結果、一時的な下落があっても、まだまだ全然プラス♪という認識が生まれ、このような状況になったら、値下がりへの恐怖や価格変動に対する関心も徐々に減っていき、最終的には、日々の値動きも気にならず、自分の投資センスへの信頼も生まれる。
SNS等を見ていて、リスクを取って大成功を収めているケースを見て自分もと思う人もいるかもしれない。でも、その人はこの含み益バリアがあるから、リスクを安心して取れるかもしれない。
投資初心者が感じる不安は、投資をやめるべきサインではない。多くの人が必ず通過する、正常な段階である。そして、その不安は含み益バリアを作るための必要コストなのである。
投資において重要なのは、不安を完全に排除しようとしないことである。その不安とうまく付き合いながら、含み益バリアを作ることが重要なのである。