S&P500のアノマリー

S&P500のアノマリー3月編(2026年度版)

S&P500のアノマリー3月編(2026年度版)の年間の株価の上下にはある一定の規則性があると言われている。この規則性はアノマリーと言われ、明確な論拠は説明できないが、毎年その法則にある程度したがって株価は動く。それでは、3月のS&P500の動きにはどのような規則性があるのであろうか?

S&P500の3月の月間平均リターンと上昇確率

S&P500の3月のパフォーマンスは、過去10年平均から過去40年平均までのすべてプラスを示している。ただし、過去10年を除き、月間平均リターンは1.1%程度だ。それではなぜ、過去10年平均リターンが0.2%と小さくなっているのか?

期間月間平均リターン上昇確率
過去10年+0.2%60%
過去20年+1.2%65%
過去30年+1.1%63%
過去40年+1.1%65%

3月の過去10年のパフォーマンスが他の過去平均に比べて低いのはなぜか?

過去10年のパフォーマンスが低いのは新型コロナウイルスのパンデミックが起こった2020年3月の-12.5%が含まれるからだ。これは、過去40年(480か月)の内で4番目に高い月次下落率という異常値なのだ。(1位は1987年10月のブラックマンデー -21.8%、2位は2008年10月のリーマン破綻の翌月 -16.9%、3位は、1998年8月のロシア財政危機とLTCM破綻懸念の -14.6%)。

この2020年の除いた過去10年(2020年除き、2015年を追加する)とすると、パフォーマンスは+1.3%となる。

3月のパフォーマンスは平均以上の月と言える

コロナウィルスのパンデミックの影響を最小限にするため、過去20年リターンを採用し、この1.2%が12か月続くとすると(年率換算すれば)、リターンは約14%となり、実際のS&P500の過去10年の年間プライスリターン(約11%)を凌駕する。つまり、3月はパフォーマンスが平均以上の月と言えよう。

3月のリターン分布

過去40年の3月の月間リターンの出現回数を0.5%刻みに分けてカウントして棒グラフ化したもの(ヒストグラム)が以下である。

標準偏差(データのバラつき)は4.2%であり、これは、S&P 500の月別データでは標準的なデータである。このデータは、68.3%の確率で、月次リターンが-3.2%から5.3%に収まるということを表している。

また、ヒストリカルデータから見ると5%以上のリターンが得れる確率は15%(40年中6年)、-5%以上の損失になる確率は、7.5%(40年中3年)と言える。また、最も多い出現確率が、3.5%から4%となっており上昇する確率は高い月と言える。

データを読むときに注意しなくては、マイナスリターンで大きく離れて1回だけ出現した、コロナ初期のパンデミック、2020年3月のパフォーマンスだ。より全体的なトレンドを見るためにはこのデータを排除してみたほうが良いだろう。

3月の年別S&P 500 ベストリターン

3月のベストパフォーマンスが出た2009年、2010年、2016年、2021年などは年間パフォーマンスも良かった。ただし、2000年のドットコムバブル崩壊、2022年のコロナバブル崩壊を見るように、3月のパフォーマンスの素晴らしさが、そのまま年間パフォーマンスの良さにつながるという訳ではない。

3月のパフォーマンスの卓越したパフォーマンスと年間リターンは結び付かない傾向があるといっても良いだろう。

順位過去10年過去20年過去30年過去40年
1位2016年 (+6.6%)2009年 (+8.5%)2000年 (+9.7%)2000年 (+9.7%)
2位2021年 (+4.2%)2016年 (+6.6%)2009年 (+8.5%)2009年 (+8.5%)
3位2022年 (+3.6%)2010年 (+5.9%)2016年 (+6.6%)2016年 (+6.6%)

3月の年別S&P 500 ワーストリターン

3月のベストパフォーマンスが必ずしも年間リターンに結びつかないというだけなく、ワーストパフォーマンスも年間パフォーマンスに結び付かない。過去40年平均でトップにランクインする2020年はコロナのパンデミックで急落したが年末までには持ち直した。2025年もトランプ関税導入騒ぎで急略したが、年末までには持ち直した。

その一方、相場が軟調な2001年は年間通してズルズル下がっていくこととなった。このことからも、3月のパフォーマンスの悪さと年間パフォーマンスの悪さは必ずしも結び付いていないといえるだろう。

順位過去10年過去20年過去30年過去40年
1位2020年 (-12.5%)2020年 (-12.5%)2020年 (-12.5%)2020年 (-12.5%)
2位2025年 (-5.8%)2025年 (-5.8%)2001年 (-6.4%)2001年 (-6.4%)
3位2018年 (-2.7%)2018年 (-2.7%)2025年 (-5.8%)2025年 (-5.8%)

S&P 500の3月のアノマリーは?

このアノマリー分析のキーポイントは以下となる。

・パフォーマンスが低い2月に比べて、3月のパフォーマンスは平均以上。年間で言うと中程度のパフォーマンスの年だ。
・高騰や急落等の大きなパフォーマンス変化があっても年間パフォーマンスには結びつかないことが多い。

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