日経平均の投資信託の積立日をいつにすべきか?結構値動きがある日経平均をお得に積立てるためには、月初に投資すべきか、月末に投資すべきか、あるいは月の半ばが適切か?インデックス投資家の間で長らく議論が続いている。
特に月末最終営業日の1日前は、権利落ち日と言われる、配当や株主優待を受ける権利がなくなる日になるケースが多い。権利落ち日になると、株価は理論的に配当分下がるため、月末に日経平均を買ったほうが割安なのではないか?という考察も成り立つ。
そこで「月内の特定の営業日に投資した場合、長期的なリターンにどのような違いが生じるか」を過去30年、過去20年、過去10年の日経平均のデータ1を使って分析してみた。尚、日経平均の利回りはこちらを見てほしい。
シュミレーションの前提
毎月、月内の特定の営業日に1万円を積立てる。データは日経平均株価のプライスインデックス(配当を入れない)を利用する。
営業日数がバラバラである問題に対応する
営業日は月によって異なり、たとえば19営業日の月もあれば、24営業日ある月も存在する。そのため、単純に「20営業日目」などで比較を行うと、月によってサンプル数や投資タイミングが不均一となり、結果の信頼性を損なう可能性がある。
2つの視点からアプローチを行った。ひとつは”月初が良い”を検証するために、「月初から数えた営業日」に着目し、1営業日目から18営業日目までの各日に毎月一定額を投資した場合のリターンを計測する方法である。もうひとつは”月末が良い”を検証するために「月末から逆算した営業日」に着目し、最終営業日からさかのぼって1〜18営業日前に投資した場合のパフォーマンスを同様に算出した。そしてそれをを比較した。
営業日 | 該当した月数(過去30年/360月) | 割合 |
18営業日 | 360月 | 100% |
19営業日 | 342月 | 95% |
20営業日 | 271月 | 75% |
21営業日 | 173月 | 48% |
22営業日 | 78月 | 22% |
23営業日 | 12月 | 3% |
日経平均の過去30年の比較
1995年から2024年の日経平均の過去30年のデータを使った分析の結果、営業日1から営業日19日目および、月末から営業日を数える最終日〜18日前営業日の分析のいずれにおいても、パフォーマンスの大きな差は見られなかった。
つまり、月内のいつに投資を行っても大して変わらないということだ。
最も良かった日と最も悪かった日を比べてもパフォーマンス差は、わずか52,245円(+0.55%)しか発生していない。総投資額が360万円であることを考えるとそれは誤差であろう。むしろ、積立を30年間続けると2.7倍に資産が膨らむということのほうが重要だろう。
いつ投資するか | 投資金額 | 最終残高 | 何倍? | |
---|---|---|---|---|
最も良かった日 | 第8営業日 | ¥3,600,000 | ¥9,629,977 | 2.7倍 |
最も悪かった日 | 最終営業日 | ¥3,600,000 | ¥9,580,528 | 2.7倍 |


日経平均の過去20年の比較
2005年から2024年の日経平均の過去20年のデータを使った分析の結果も変わらなかった。月内のどのタイミングで積立を行っても大してパフォーマンス差は軽微である。
繰り返しになるが、月内のいつに投資を行っても大して変わらないということだ。
最も良かった日と最も悪かった日を比べてもパフォーマンス差は、わずか46,093円(+0.76%)しか発生していない。注目すべきは、積立を20年間続けると2.6倍に資産が膨らむことの方だろう。
いつ投資するか | 投資金額 | 最終残高 | 何倍? | |
---|---|---|---|---|
最も良かった日 | 第8営業日 | ¥3,600,000 | ¥6,149,058 | 2.6倍 |
最も悪かった日 | 最終営業日の16営業日前 | ¥3,600,000 | ¥6,102,965 | 2.5倍 |


日経平均の過去10年の比較
2015年から2024年のS&P500の過去10年のデータを使った分析の結果も変わらなかった。月内のどのタイミングで積立を行っても大してパフォーマンス差は軽微である。特に10年という期間だとほぼ一緒というようなパフォーマンス差しかでなかった。
最も良かった日と最も悪かった日を比べてもパフォーマンス差は、わずか18,602円(+0.91%)しか発生していない。積立を10年間続けると1.7倍に資産が膨らむことも良いニュースだろう。
いつ投資するか | 投資金額 | 最終残高 | 何倍? | |
---|---|---|---|---|
最も良かった日 | 第3営業日 | ¥1,200,000 | ¥2,054,997 | 1.7倍 |
最も悪かった日 | 最終営業日の15営業日前 | ¥1,200,000 | ¥2,036,395 | 1.7倍 |


月初有利は本当か?この分析の問題点である長さを考慮する
この3つの期間、30年、20年、10年の分析を通じて、月内のいつに投資を行っても大して変わらないということが分かった。ただし、強いて言えば、月末よりも月初のほうが有利ということになる。
これには理由がある。そもそも論として、これは月初のほうがお金を市場にさらしている時間が長くなる。つまり、保有期間が長くなり、リターンが良くなるという性質がある。そこで、保有期間を補正した分析を行ってみる。やり方としては保有期間を日ごとに積算し日次リターンを計算し、それを比較しやすいように年率リターン換算で割り戻すということだ。
この分析をすると月末のちょっと前がもっとパフォーマンスが良いといえる。ただし、最も悪い月中の数値と年率で僅か0.039%しか発生しない。誤差と言える範囲だろう。
いつ投資するか | 年率リターン | |
---|---|---|
最も良かった日 | 最終営業日の6営業日前 | 4.635% |
最も悪かった日 | 最終営業日 | 4.596% |


結論:タイミングはよりもできるだけ早く
今回の分析では、保有期間を補正しなくても、保有期間を補正したパターンでも月中のパフォーマンスが良いとなるが、いずれの場合もリターンは誤差レベルである。
つまり、長期で積立投資をやっていく際にはタイミングは関係ないというのが結論だ。
ベストな積立タイミングはいつか?
僅かな誤差レベルのリターンを追及するのではなく「資金はできるだけ早く市場にさらしたほうが得である」と結論づけられる。つまり、積立タイミングは、月初でも、月末でもなく、あなたに余剰資金ができたタイミングというのが結論になる。
会社員であれば給料日の当日ということになるだろう。