アメリカの3大株式インデックスとも言われる、S&P 500、ダウ平均、NASDAQ 100で、圧倒的にパフォーマンスが良いのがNASDAQ 100である。その一方で、S&P 500に比べて、ハイリスクという印象があるNASDAQ 100である。その背景には、長らく指数が低迷したドットコムバブル崩壊後の値動きがある。
新NISAでNASDAQ100系のインデックスファンドに投資を検討している人も多いだろう。今回は、安心してNASDAQ 100に投資するためにも、あえて、NASDAQ 100冬の時代を研究してみる。
過去30年間でNASDAQ 100は52倍も成長
以下のようなナスダック100の指数のチャートがよく紹介されている。このチャートは何も嘘もなく、30年間でナスダックは52倍に成長している。素晴らしいパフォーマンス。年間利回りに直すと14.1%という素晴らしい株式インデックス、世界最強の株式指数と言っても間違いない。
そんなナスダック 100のチャートの以下の部分、1999年末から2014年末の15年に注目してみると、ナスダックの冬の時代がわかる。
1999年末から2014年末までのNASDAQ 100の値動き
ドットコムバブル最中であった1999年のNASDAQ 100終値の終値は3,708。年末の終値として超えたのは2014年の4,236であり、年末終値ベースの最高値を超えるのに15年間かかっている。
この15年間を詳しく見ると、ドットコムバブル崩壊後の3年間で-73%まで下落している。その後、5年かけて-44%と約半値まで戻している。ただし、リーマンショックの影響で、その後1年で-67%の水準まで逆戻りとなっている。その後、6年間で上昇したということになる。
インデックスが、3年の-73%となってしまう大きな下落、その上で、年末最高値を回復するまでに15年かかったというのが、NASDAQ 100の印象を悪くしている。つまり、値下がりとリスクが多い指数と認識されてしまっている一つの理由ではないか?
尚、同じくバブルで苦しんだ指数として日経平均がある。1989年のバブル時の年末最高終値を更新したのは、昨年2024年である。こちらは、年末最高値の更新に35年かかっている。これが日経平均の直近の利回りの正しい理解が進まない一つの理由だと考えている。
直近10年の値動きは
比較するために日本で人気の2つの指数と比べてみた。オルカンとS&P 500である。尚、データ取得の関係からドル建てのETFの過去10年のパフォーマンスで比べている。
リターン | リスク | シャープレシオ | |
---|---|---|---|
オルカン (ACWI) | 9.34% | 14.93% | 0.55 |
S&P500 (SPY) | 13.00% | 15.32% | 0.76 |
NASDAQ 100 (QQQ) | 18.29% | 18.51% | 0.91 |
リターンは、NASDAQ 100 > S&P500 > オルカン の順になり、リスクも、NASDAQ 100 > S&P500 > オルカン となる。シンプルにはNASDAQ 100がハイリスク・ハイリターンということになる。そこで、リスクとリターンの関係を見るシャープレシオで比べてみる。
シャープレシオは、投資のリターンがどれだけリスクに見合っているかを示す指標である。シャープレシオが高ければ高いほど、同じリスクを取った場合のリターンが高いことを示している。その結果は、NASDAQ 100 > S&P500 > オルカンということになり、過去10年では、NASDAQ 100(QQQ)が効率が良い投資先と出ている。
ドットコムバブル崩壊は再び起こるのか?
ドットコムバブルのようなハイテクバブルが再び起こらなければ NASDAQ 100は、世界最強インデックスと言えよう。問題は、バブルは弾けてみないとバブルとわからないことだ。最近では、米国株の割高感からAIバブルが発生しているのでは?という声がある。
ドットコムバブル時のNASDAQ 100のPER(実績)は、約70倍だったそうだ1。尚、日本のバブル時はPER(実績)は、約60倍。現在、マーケットが過熱しているが、NASDAQ 100のPER(実績)は46倍程度だ2。NASDAQ 100は、その成長期待からPERはS&P500のPERよりも一般的に高いレンジで推移する。それでも、リーマンショック後から2023年中ごろまでは、15倍から20倍のレンジで動きて来た3。割高感がないと言えば嘘になる。
もちろん、これは将来の成長期待からの市場が判断した数字である。この市場評価に添えるのであれば、今後もNASDAQ 100が、最強インデックスであろう。