割安株(バリュー株)と聞くと、「いずれ株価が上がるお得な銘柄」というイメージを持つ人は多い。しかし現実の株式市場には、PERやPBRが低いまま、いつまでたっても評価されない企業が存在する。
こうした企業は一見するとバリュー株に見えるが、単なる不人気企業、永遠に割安な企業、いわゆるバリュートラップである場合が少なくない。つまり、バリュー株投資において重要なのは、PERやPBRなどの指標が引くことではなく、なぜ安いのか、そしてその理由が将来解消される見込みがあるのかを考えることである。
本物のバリュー株は、何らかの歪みによって、あくまでも一時的に過小評価されている企業だ。永遠に割安な企業(単なる不人気企業)は、事業構造や競争環境、経営姿勢といった根本的な理由により、市場から評価されない状態が固定化している。
本記事では、この両者の違いを整理し、日本株の具体例を交えながら、バリュー株投資における最大の落とし穴、バリュートラップとは何かを明らかにする。
永遠に割安な企業(バリュートラップ)とは何か
スクリーニングツールの罠
PERが低い、PBRが1倍を割っている。こうした指標を見ると「割安=買い」と考えたくなるが、市場はそこまで単純ではない。
市場は企業のすべてを正しく評価しているわけではないが、理由もなく安い企業はほぼ存在しない。成長が止まっている、競争力が低下している、経営に変化がない。こうした理由がある限り、株価は割安なまま放置されるが、スクリーニングツール上には表れてこない。
永遠に割安な企業とは、市場から評価されない理由が構造的であり、将来も解消される見込みが乏しい企業のことを指す。
典型的なバリュートラップの企業
地方銀行、とりわけ小規模な地銀は、PER 5〜8倍前後で、PBRが0.3〜0.6倍と極端に低いケースが多い。スクリーニングツール上では、非常に魅力的に見えるが、実際は、ビジネスの成長が全く見えないという問題を抱えている。
このような企業を見つけ出すためには以下の項目を使い採点するべきだ。4つ以上にYesがつけばそれはバリュートラップである可能性が高い。
| 分類 | 判定項目 | 内容 | YES / NO |
|---|---|---|---|
| 外部環境 | 人口減少の影響 | 日本の人口減少・地域縮小の影響を強く受け、需要回復が見込めない | YES / NO |
| 外部環境 | 市場環境の改善余地 | 市場環境が改善しても、業績が上向く見通しを説明できない | YES / NO |
| 経営方針 | 成長投資の不在 | 現金は潤沢だが、成長投資・事業拡大の方針が曖昧 | YES / NO |
| 成長性 | 新規事業の寄与 | 新規事業・新サービスが売上や利益に寄与していない | YES / NO |
| 事業性 | ユニーク性 | 事業モデルに明確な差別化・独自性がない | YES / NO |
| 評価転換 | 株主還元姿勢 | IR資料に株主還元強化や資本効率改善への積極的言及がない | YES / NO |
| 評価転換 | 評価が変わる説明 | 「何を変えれば評価が変わるのか」を会社側が説明していない | YES / NO |
結論
割安だから買うのではない。割安である理由が、将来なくなると説明できる企業だけが、本物のバリュー株である。
