株式市場では、バブルと暴落が何度も繰り返されてきた。
ドットコムバブル、リーマンショックを引き起こしたアメリカの不動産バブル、そして近年は、AI関連株の過熱からAIバブルではないかという議論も出ている。常に「今回は違う」と言われながら、想定外の現象が起こったということでバブルが崩壊する。
株式市場がこのようなバブルを繰返す背景には、群集心理、投資の文脈ではハーディング現象(Herding behavior)と呼ばれる投資行動の結果ともいえる。
この投資心理を読み解くことは、バブルに巻き込まれないようにするために非常に重要だ。
群集心理(ハーディング現象)とは何か
ハーディングとは家畜の群れを示す英語 herd(ハード/群れ)を語源としており、自分自身の分析や情報よりも、他人や多数派の行動を参考にして同じ投資行動を取ってしまうことを指す。つまり、無意識に同調してしまう行動である。
- みんなが買っているから自分も買う
- 周囲が売り始めたので慌てて売る
このような群集心理に基づいた投資行動は、一見すると感情的で非合理に見える。
なぜ、合理的な投資家でも群集心理に流されるのか
重要な点は、この群衆心理に流されるハーディングは、合理的な行動だと整理されている1。
ハーディング現象は単なる根拠のない模倣ではなく、投資というのは不確実性が高い行為をしていることから、他人の売買行動は「自分が知らない有益な情報を反映したシグナル」と解釈されやすいのだ。
これは、投資家が、他人の売買の総合体であるS&P 500などのインデックスの状況を常に観察していることからもわかる。
S&P 500が上がり始めると(初期の投資家の判断)、後続の投資家も「米国株はやはり強い」ということで、自分の情報を使わなくなる。これが、上がれば上がるほど多くの投資家が、自分の独自の情報を使わなくなるということだ。株式チャートを使った判断というのは、ある意味、この群衆心理を使った判断ともいえる。
市場での動きは小さな動きから
ハーディング現象は、一部の少数の取引から発生するとも言われている。
1) 少数の人が偶然、買う方向で売買する
2) それをチャート上で目撃した人が、買う方向で売買する
3) その結果、どんどん多くの市場参加者が買っていく
このように株式市場は小さな動きが大きな動きにつながりやすい。現代の株式市場は、多くの個人投資家も含めた多くの市場関係者にリアルタイムに情報を送っており、群集心理が働きやすい状況あるのは確かだ。
バブル局面で強化される合理的な群集心理
バブルが加速していく中では、群集心理は次のように強化される。
- 皆が買っているということ、つまり、株価上昇が「正しさ」の証明になる(バンドワゴン効果)
- 株価上昇を伝えるニュース報道が多くなり、それが株価上昇をより正当化する(確証バイアス)
- 利益を出している他人の存在が乗り遅れる恐怖(FOMO)による判断の歪みを生む
この段階では、割高かどうか、リスクが高いかどうかは二次的な問題になる。「上がっている」という事実そのものが安心材料になるためである。なお、バブルが崩壊する局面では、逆の状態になり、みんなが逃げているから、自分も逃げるということになる。
まとめ:群集心理を前提にした投資判断が重要である
群集心理、ハーディング現象は、初心者の投資家が非合理に起こしている行動ではない。それなりに合理性がある行動の為、多くの人々が参加する株式市場で、バブルは是正されないまま拡大するわけだ。重要なのは、「自分は群集心理の影響を受ける」という前提で投資ルールを設計することである。
- 事前に売買基準を決める
- 感情が高ぶる局面ほど何もしない選択肢を持つ
- 市場が過熱しているときほど距離を取る
つまり、群集心理を理解すると、欲深くならないということが、投資においては非常に重要だということがわかる。このように、人間が本来持つ思考の癖や心理的な罠を体系的に理解することが重要である。投資判断を狂わせやすい代表的な心理については、投資心理学の観点から整理した以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてほしい。
- Herd Behavior in Financial Markets https://www.imf.org/external/pubs/ft/staffp/2001/01/pdf/bikhchan.pdf ↩︎
