「SNSで話題の株が気になる」
「みんなが買っているAI株だから安心そうだ」
投資をしていると、こうした感情を抱いたことがある人は多いだろう。
この心理の正体が、バンドワゴン効果1である。
バンドワゴン効果は「みんながやっている」という事実そのものが判断材料になってしまう心理現象ある。つまり「その銘柄が本当に良いのか?」という合理的な判断を妨げる認知バイアスの一つだ。
この効果の特徴は、バンドワゴンに乗っている人、つまりそれを採用している人の割合が増えるほど、次に採用される速度が加速する点にある。一定の人数を超えた瞬間に「多数派」と認識され、他の人々が次々と「バンドワゴンに飛び乗る」、いわゆる勝ち馬に乗る状態が発生する。
ここで重要なのは、人々が判断しているのは中身の妥当性ではないという点だ。実際には企業価値や業績が検証されることはなく、「どれだけ多くの人がバンドワゴンに乗っているか」だけが判断基準になっている。
バンドワゴン効果とは何か|「みんなが買う株」が正しく見える理由
なぜ「みんなが買っている株」は、内容を深く考えなくても正しく見えてしまうのか。人が他人の行動に同調してしまう理由は、大きく分けて三つある。
一つ目は、バンドワゴン行動が素早く判断するための思考の近道として機能する点だ。本来、行動や考えを一つ一つ評価するには時間と労力がかかる。そのため人は、他人の選択に判断を委ねることで意思決定を省略しやすくなる。
二つ目は、同調行動である。人は集団から浮くことを本能的に避ける。仲間に溶け込みたい、集団に適応したいという欲求は非常に強く、その結果として「周囲と同じ判断をする」こと自体が心地よく感じられるようになる。
三つ目は、人は他者のほうが正しい情報を持っているかもしれないと考え、「正しい判断をしたい」という欲求から多数派に同調する点だ。多数派の行動が目立つほど、それに従わないことは心理的に難しくなり、結果として自分の情報や判断を無視し、他人の行動に従いやすくなる。
この三つをまとめて一言で言えば「バンドワゴンに乗ったほうが精神的に楽だから」である。
金融市場におけるバンドワゴン効果|バブル相場が生まれる仕組み
バブル相場では、なぜ「割高だと分かっていても買われ続ける」現象が起きるのか。それは、バンドワゴン効果が関係する。
人気銘柄に投資家が殺到すると、企業価値や業績、市場環境といったファンダメンタルズとは関係なく「株価が上がるからさらに上がる」という理由で価格が吊り上がる。この段階では、投資判断の根拠が「割安かどうか」ではなく「株価がまた上がって含み益が増えているから」にすり替わっている。
バンドワゴン効果に確証バイアスが加わる
バブル局面では、これに「確証バイアス」も加わる。確証バイアスとは、自分の考えや行動が正しいと思いたいために、都合の良い情報だけを集め、反対情報を無視してしまう心理だ。
バブル時には、多くの警告は無視され、非常に楽観的な市場予測のみが、市場参加者が参照する。理由は、株価が上昇しているから。これにより、勝ち馬に乗ろうとする多くの投資家がバンドワゴンに乗り、さらにバブルは急速に拡大していく。
FOMOとは何か|バンドワゴン効果との違いを整理
SNSが普及した現在、バンドワゴン効果と似たような心理効果がある、FOMO(ファーモ: Fear of Missing Out)である。
バンドワゴン効果の中心となる心理は、同調による安心というポジティブなものである。一方、FOMOは、恐怖や焦りというネガティブなものである。「今買わなければ乗り遅れる、他人は儲けているのに自分だけ何もしていない」といった不安な気持ちである。
FOMOと結びつくと危険|投資判断が歪む典型パターン
バンドワゴン効果とFOMOが同時に働くと、投資判断はどのように壊れていくのか。
みんなが買っているという安心感と、今動かないと損をするという焦りが重なると、
「みんな買っているので安全だ」
「みんなが儲けているのに、自分だけ何もしないのは不安だ」
という心境になり、ポジティブ面とネガティブ面から、心理を揺さぶられる。さらに、前述の「確証バイアス」も加わり「買うことのみが正当化される」という心理状況になってしまう。
まとめ|「みんなが買う株」に流されない投資判断の考え方
「投資は自己責任」という言葉は誰もが知っていることであるが、しかし人間の本来的な性質を考えると、自分で判断しているつもりでも、実際には他人から大きな影響を受けている。
必要以上の高揚感や不安を感じたときこそ、理性に立ち返り、「なぜ自分は今この判断をしようとしているのか」を問い直すことが重要だ。
投資判断は、
「みんなが買っているから」
「取り残されるのが怖いから」
ではなく、
「その銘柄の期待値が高いから」
という理由に基づいて行われるべきだろう。
