少額投資に意味はあるのか?|初心者ほど知ってほしいこと

2026年1月5日

「少額で投資をしても意味があるのだろうか?」
結論から言えば、少額投資は「お金を増やす」という意味ではインパクトが小さいが、「投資に慣れる」という点では非常に大きな意味がある

投資を始めようとした多くの人が、この疑問に一度はぶつかるのは自然なことだ。SNSでは「投資で資産が1億円になった」といった成功談があふれており、毎月1万円程度の積立投資では何も変わらないのではないか、と感じてしまう人も多いだろう。この説明は長期的には正しいが、短期の体感としては現実とズレがある

SNS上ではよく、「毎月1万円を年利7%で30年積み立てれば約1,220万円になる」という複利の力が反論として語られる。しかし、この話にも注意が必要だ。実際には5年続けても評価額は約71万円にしかならず、多くの人が途中で「意味がない」と感じ、投資をやめてしまう。

それでも、少額投資をやる意味は確かに存在する。その本質は経験の獲得にある。

少額投資は「金額的リターン」が小さいのは事実(=少額投資でお金は増えにくい)

投資の基本として押さえておくべき点は、リターンは金額ではなく%で決まるということだ。年率10%の投資成果が出た場合、1万円なら増えるのは1,000円、100万円なら10万円になる。

つまり、投資金額が少ないほど、得られるリターンの絶対額は小さくなる。これは紛れもない事実であり、少額投資で短期間に人生が変わるような金額を得ることはできない。

この点を理解せずに投資を始めると、「投資では思ったよりお金が増えない」「やっぱり投資は意味がなかった」と感じやすい。少額投資は、まずお金を増やすための手段ではないという前提を持つことが重要だ。

それでも少額投資に意味がある理由

少額投資の意味は「経験値」にある

少額投資の本質は、単にお金を増やすことではない。価格が上下するのを体験し、含み損や含み益を実際に見ることで、初めて理解できることがある。

ニュースが出たときに相場がどう反応するのか、自分の感情がどう揺れるのか。こうした感覚は、実際に投資をしてみなければ分からない。少額投資は、こうした投資の経験値を安全に積むための最も現実的な方法である。

投資の怖さに慣れる必要がある

投資は想像以上に心理的な負荷が大きい。ノーベル経済学賞を受賞した心理学者ダニエル・カーネマン氏らが提唱したプロスペクト理論によると、人は利益を得る喜びよりも、損失を被る痛みを強く感じる傾向がある。

その結果、少し利益が出るとすぐに売ってしまう一方で、含み損が出た銘柄はなかなか売れず、損失を拡大させてしまう「利小損大」という状況に陥りやすい。少額投資は、こうした心理的な揺れに慣れるための訓練でもある。

いきなり高額投資が危険な理由

むしろ、いきなり高額で投資を始めると、値下がりが怖くなり、冷静な判断ができなくなる人が多い。結果として、狼狽売りを誘ってしまう。

たとえ貯金が100万円あったとしても、最初から投資に全額を回す必要はない。少額から始め、相場の動きや自分の感情に慣れてから、徐々に投資金額を増やしていく方が合理的である。

フルインベストは上級者向けの戦略

SNSでよく言われる「フルインベスト」。現金をほとんど持たずに資産のほとんどを投資に回している人がいるが、これは、投資経験が豊富で下落耐性に強いからできる話である。

もちろん、投資上級者になればこの「フルインベスト」も選択肢になるだろう。ただし、初心者は、SNS上での「フルインベストをしてます。市場にお金をさらし続けることがリターンを最大化する方法です」を鵜呑みにしないほうが良いだろう。SNS上での手法は、FOMO(取り残される恐怖)を感じやすく、このような理論的には正しい投資情報であっても付き合い方は十分考えるべきだ。

徐々に投資金額を増やすという考え方

含み益バリアを形成できる

段階的に投資金額を増やしていくことには、心理面で大きな効果がある。それが「含み益バリア」の形成だ。

少額から投資を始め、相場の上下に慣れながら継続していくと、比較的早い段階で含み益を経験しやすい。その状態で投資額を増やすと、新たに投じた資金が一時的に下落しても、全体では含み益が残りやすくなる。この含み益が心理的なクッションとなり、値下がり局面でも冷静さを保ちやすくなる。

これにより、短期的な値下がりに一喜一憂しにくくなり、投資を継続できる確率が高まる。

まとめ|少額投資の本当の役割とは

少額投資の意味を一言で言うと

少額投資の意味は、お金を増やすことではなく、投資に慣れることにある。金額的なリターンは小さいが、心理的・知識的なリターンは非常に大きい。

次に取るべき行動

少額で投資に慣れ、仕組みや自分自身の感情を理解できたら、徐々に投資額を増やしていけばよい。最初から完璧を目指す必要はない。少額投資は、長期的な資産形成への第一歩なのである。

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