S&P500が連続上昇するということはブルマーケットの入り口と称したが、S&P500が連続下落するということはベアマーケットの入り口なのか?
Investing.comのS&P 500 (SPX)のデータ1を活用して計算した。Investing.comのデータについては、2022年2月11日以前のデータは、小数点2桁ではなく小数点1桁のデータであり、軽微な変化は捉えられてないことをご留意いただきたい。例えば、9営業日上昇は、2004年10月26日から11月25日までも起こっているが、11月1日と11月2日のデータが、1130.5で同じであり、計算上は5日上昇と3日上昇として計算されている。
S&P500の連続下落はどのくらい発生するのか?
1980年から2025年5月2日までの45.3年分のデータを元にしたS&P500の連続下落について分析が以下だ。
そもそも連続下落というのはなかなか起こりにくい現象だ。なぜなら、相場が下がれば相対的に株式投資が魅力的になり、投資マネーが市場に流れ込む。その為、長期の連続下落が起こるためには相当マーケットのセンチメント(市場心理)が悪くないと発生しない。
尚、連続上昇は同じ期間で最大12営業日まであるが、下落は最大でも9営業日連続までしかない。これは、株式市場は右肩上がりということが影響しているのかもしれない。
連続下落営業日数 | 回数 | 1年に何回あるか? |
---|---|---|
3営業日 | 351 | 7.7回 |
4営業日 | 154 | 3.4回 |
5営業日 | 69 | 1.5回 |
6営業日 | 30 | 0.7回 |
7営業日 | 6 | 0.1回 |
8営業日 | 3 | 0.1回 |
9営業日 | 2 | 0.0回 |
3営業日連続下落日は、1.5か月に1回程度起こっており、1週間の内過半数が下落日になることは、まあ、よくあることともいえる。また、確率論だけで言えば、5営業日=1週間が連続で下落することも8か月に1回起こっている年間1回は必ず起こるイベントともいえる。
しかしながら、これはあくまでも統計的に分析であって、実際にはこのような下落はベアマーケットに集中する。よって、5営業日程度の連続下落が起こったら注意してみるべきである。
大規模連続下落はいつ起こったのか?
大規模連続下落を今、7日以上と定義すると、11ケースである。これらは、必ずしもすべてがブルマーケットの入り口とはいけない。特に株高が進んだ局面では調整という名前で連続下落が起こる。
また、7日の連続下落が起こったケースの4回、約4割が1980年代前半であり、現在の市場においては、アルゴリズム取引などもあり、下がったら、一時的な買いが入りやすくなっている。
1980年代の4回を除いた全7回の内、3回は株価調整として起こっており、歴史的な連続下落=ベアマーケット発生と結論づけるのは早急かもしれない。
連続下落開始日 | 連続下落日数 | 連続期間の下落率(%) | 3か月後の下落率 | 6か月後の下落率 | 下落要因 |
---|---|---|---|---|---|
1980年4月11日 | 7日 | -4.1% | +13.2% | +25.8% | 1980年前半の不景気 |
1980年12月1日 | 9日 | -9.3% | -7.0% | -7.0% | 1980年前半の不景気 |
1982年5月12日 | 7日 | -4.0% | -14.1% | +19.8% | 1980年前半の不景気 |
1982年8月3日 | 8日 | -6.1% | +24.3% | +33.3% | 1980年前半の不景気 |
1985年2月14日 | 7日 | -2.2% | +1.3% | +2.2% | 株価調整:株高による調整 |
1996年6月10日 | 8日 | -1.7% | -1.4% | +9.8% | 株価調整:ドットバブル前の高値 |
2008年10月11日 | 8日 | -22.9% | -22.6% | -28.5% | リーマンショック |
2011年7月25日 | 7日 | -6.8% | -7.9% | -2.3% | 米国債務危機 |
2011年11月16日 | 7日 | -7.9% | +8.2% | +3.0% | 米国債務危機+ギリシャ危機 |
2016年10月25日 | 9日 | -3.1% | +6.8% | +11.0% | 株価調整:米大統領選前の不透明感 |
2020年2月20日 | 7日 | -12.8% | -10.3% | -0.3% | コロナショック |
45年間のグラフで見る7営業日以上連続下落した日

5営業日での下落率上位日
やはり連続下落日、よりも短期間な下落率が高いほうが弱気相場入りを判断するのには役立ちそうだ。
以下は、特定の5営業日での下落率が大きかったものをリスト化したものであるが、ほぼショックと言われるような急激な下落の際にしか凝ってない。下落についての深刻度は、連続下落日よりも、下落率に注目したほうが良いのかもしれない。
下落発生日 | 下落率 | 5日中の上昇日数 | 3か月後の下落率 | 6か月後の下落率 | 下落要因 |
---|---|---|---|---|---|
1987年10月13日 | -27.3% | なし | -20.7% | -12.3% | ブラックマンデー |
2008年10月3日 | -18.3% | なし | -16.4% | -24.4% | リーマンショック |
2020年3月6日 | -18.0% | 1日 | 2.9% | 18.4% | コロナ禍 |
2008年11月14日 | -17.4% | 1日 | -13.4% | -0.2% | リーマンショック |
2020年3月16日 | -15.0% | 2日 | 12.2% | 23.2% | コロナ禍 |
2008年10月21日 | -13.9% | 1日 | -14.7% | -14.4% | リーマンショック |
2011年8月2日 | -13.0% | 1日 | -0.1% | 2.0% | アメリカ債務危機 |
1998年8月25日 | -12.0% | なし | 6.9% | 15.2% | ロシア債務危機 |
2020年2月21日 | -11.7% | なし | -11.9% | 0.0% | コロナ禍 |
2001年9月17日 | -11.6% | なし | 2.5% | 6.7% | 同時多発テロ |
45年間のグラフで見る5営業日での下落率トップ10が起こったタイミング

- S&P 500 Index (SPX) - Investing.comのデータを活用した。活用したデータはプライス・インデックスである。 ↩︎