投資を続けていると、誰しも一度は強い焦りに襲われる瞬間がある。
SNSを見ると「まだ間に合う、AI相場に乗り遅れるな」、「S&P 500よりもFANG+。資産が4倍になった」といった投稿が流れ、ニュースでは連日の上昇相場が強調される。この相場に乗り遅れてはならないということで、AI銘柄を購入した瞬間、株価が下落基調になる。失敗したと感じ、1週間後に損切をしてしまう。その次の日には株価が上がる。
このとき多くの投資家が感じている感情が、FOMO(ファーモ - Fear Of Missing Out:取り残されることへの恐怖)である。FOMOは「他人が得をしている機会を自分だけ逃しているのではないか」という不安から、合理性を欠いた判断をしてしまう心理状態と定義できる。このFOMOは理屈ではなく感情として襲ってくる。そのため、自分では冷静な判断をしているつもりでも、実際には合理性を欠いた行動を取りやすくなる。
結論を先に述べると、強い取り残されることへの恐怖(FOMO)を感じている時点で投資判断はすでに合理性を失っているので、新規売買をしないで「何もしないこと」だ。人生は長く焦っても仕方ない。長期的にとらえればチャンスはまた来る。
ただし、そこは人間、何もしないということは、難しい。つまり、真の結論はFOMOは常に感じるものと理解し、FOMOの構造を理解することが重要だ。
投資でFOMOが発生すると、なぜ損をしやすいのか?
FOMOは「見逃しの恐怖」とも言われ、これが投資機会で頻繁に起こる理由は、SNSを通じてそんなに知らない投資インフルエンサーと簡単につながっているからだ。
例えば、この記事を読んでいる貴方は、私を知っているだろうか?まずは知らない。
その私が「私はしがない中小企業向け担当の営業マンですが、実は資産が1億円有ります。その理由は仮想通貨です。」とX上で連呼していたとする。コメントも返してくれるし、DMの交換を行った貴方は、もう私と友達だ。そして、貴方はFOMOを感じる。今、全財産を仮想通貨に突っ込むと資産が1億円になるかもしれない。これで一生遊んで暮らせると。そして、合理性なく、相場も研究せずに、仮想通貨にお金を投資する。
一歩引いて考えると、ばかげているが、これが典型的なFOMOの構造である。
SNSが投資FOMOを加速させる理由
多くのFOMO研究ではSNSの関係性が語られている1。テクノロジーで様々な人と常時つながれることは素晴らしいことであるが、それによって、自分をみじめに感じることも多い。他人は素晴らしい体験をしているのに、自分は体験してない。FOMOは、自分と何らかのつながりがある人と比べるということである。
よって、SNSでの投資情報は、投資エンターテイメントの一環として捉え、それはエンターテイメントとして楽しむことが重要だ。投資情報についてどのように考えていけばいいのかは以下の記事が参考になる。
FOMOを克服できない時にどうしたら良いのか?
FOMOを克服するのは理論的には難しい。行動経済学の一つであるプロスペクト理論2によると、"feel losses more acutely than equivalent gains"と証明されており、これは「損失のほうが同額の利益よりも痛みを感じる」ということである。つまり、人間は儲けたいというよりも、損したくない生物としてデザインされている。
FOMOが起こるのは、取り残されることへの恐怖、つまり、損失への恐怖であるので、強い欲求として人間の中に現れる。さらにFOMOを感じてるときには、感情的にも盛上がっている為、SNSに頻繁にアクセスしてしまうだろう。
FOMO(取り残される不安)をどうしても克服できないときは、「感情を消そう」とするのではなく、「行動を制限する」ことが重要である。つまり、普段から投資ルールを事前に決めておくことが重要だ。
例えば、コア・サテライト戦略などにより、コア投資としてインデックス投資の定期積立を必ずやり、その上で、余剰資金としてサテライトとして自己裁量取引をやることで、破滅は避けられる。これは、ウォーレン・バフェット氏が短期保有=打診買いが多いというにも通じる。新規投資は、被害を最小限に抑えるためにもまずは「打診買い」をすることが重要だ。
FOMOを活用した投資詐欺にご注意を
最後に、投資詐欺はこのFOMOを使ってくる。ライングループでの投資詐欺が横行しているのもクローズドな世界で、友達感覚を作り、私は儲けたが、貴方はどう?という典型的なFOMO利用であなたを誘ってくる。
4. FOMO対策チェックリスト
このFOMOというものを理解することは投資不安を取除くためにも、非常に重要なことなのである。
【FOMO対策チェックリスト】
1. SNSを見て焦りを感じたら売買しない
2. 他人の利益報告はエンタメとして見る
3. 新規投資は必ず打診買いから
4. ルールなき一括投資はしない
5.「乗り遅れた」は損失ではないと理解する
